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2008年05月24日(土) 12時17分

サミット成否占うG8環境相会合開幕 日本の指導力注視朝日新聞

 地球温暖化問題が主要議題となる北海道洞爺湖サミットの成否を占う主要国(G8)環境相会合が24日午後、神戸市のポートアイランドで開幕した。議長国の日本が自ら積極的な対応を示し、議論をリードできるのか。国内外から集まったNGOなども論議の行方に目をこらす。

G8環境相会合の開会式=24日午後1時6分、神戸市中央区、西畑志朗撮影

 鴨下環境相はこの日午前、英米や南アフリカの閣僚らと相次いで会談。「切迫した地球温暖化に対して日本がリーダーシップをとれるよう頑張り、G8がしっかりと気候変動に取り組んでいる姿勢を明確に打ち出していきたい」と記者団に意気込みを語った。

 26日までの会合では、気候変動、生物多様性、「3R」(ごみの発生抑制・再使用・再資源化)の三つが主に話し合われる。記者会見した国連環境計画(UNEP)のシュタイナー事務局長は「温暖化や食糧、エネルギー危機に対応するため、環境に配慮したグリーン経済への転換に向けた議論を期待する」と述べた。

 とりわけ関心が集まるのは、京都議定書に続く温室効果ガス排出削減の国際的な枠組み(ポスト京都)をめぐる論議だ。政府は「サミット前哨戦」と位置づけ、世界全体の長期や中期の目標、日本が提案する「セクター別アプローチ」についての認識を共有したい考え。だが、日本自身の中長期目標など具体的な取り組みは、まだ公にしていない。

 G8サミットNGOフォーラムの鮎川ゆりか副代表は「環境相が踏み込んだ合意をすることで、首脳会議への突破口になる」と語る。温室効果ガスを2050年までに世界全体で半減することを「真剣に検討する」とした昨年の独ハイリゲンダム・サミット以上の成果をめざし、日本は、気温上昇を2度以下に抑えるために自ら野心的な中長期目標を示すべきだという。

 気候ネットワークの浅岡美恵代表も「G8の中で大胆に踏み出さなければならないのは日本。日本が進めば、世界が一歩動く」と促す。

 24日午後には、G8の環境相会合で初めて、NGOの代表らと各国閣僚の対話が公式行事に盛り込まれた。

 地球環境と大気汚染を考える全国市民会議の早川光俊弁護士は「10年前に京都議定書が採択されたとき、『予想を超えた削減目標が決まったのは市民の活動なしに考えられない』と新聞が書いた。市民が監視し続けることが世界を動かすと思う」と話した。

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