記事登録
2008年05月23日(金) 14時34分

量刑のバラツキ防止、裁判員制度へ「検索システム」稼働読売新聞

 来年5月に始まる裁判員制度に向け、最高裁は先月から、裁判員裁判の対象事件の判決をデータベース化し、キーワードを入力するだけで類似事件の刑の重さが検索できる「量刑検索システム」の運用を始めた。

 裁判員裁判では、有罪・無罪だけでなく、量刑の判断にも国民の意見が反映される。最高裁は、類似の事件で量刑に極端な差が出ないよう、裁判員が過去の事例を参考にできるためのシステムを開発した。

 全国の地裁・支部にデータベースの端末を設置。裁判員裁判の対象になる事件の判決を言い渡した裁判官が、〈1〉事案の概要〈2〉凶器の種類〈3〉被害の程度〈4〉共犯者の有無〈5〉反省の度合い〈6〉被害者の処罰感情——など、十数項目の情報を入力していく。既に約100件が集まり、来年5月までには3000件を超えるデータが蓄積されるという。

 この端末に複数の条件を入力すると、類似事件の量刑一覧が検索できる。例えば、路上で起きた強盗致傷事件の場合、「路上」と「強盗致傷」の二つのキーワードを入力すると、刃物で2週間のケガを負わせ60万円を奪った事件は懲役10年、工具で襲ったが現金は奪えず、被害者との示談が成立している事件では懲役6年など、類似事件の一覧表が示され、どんな事情が量刑に影響を与えているかが一目で比較できる。また、各事件の量刑分布が棒グラフでも示される。

 裁判員裁判では、裁判官がこれらの一覧表やグラフを印刷し、裁判員に示すことになるほか、検察官や弁護士も利用できるようにするという。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080523-OYT1T00443.htm