記事登録
2008年05月23日(金) 03時02分

ネット「ヘビーユーザー」制限へ指針 業界が渋滞緩和策朝日新聞

 インターネットを流れるデータ量の急増で通信速度が下がる「ネット渋滞」を和らげるため、業界が「ヘビーユーザー」の通信量を抑える際の指針を作った。業界統一ルールの策定で、制限の動きが広がる可能性もある。

  

 日本インターネットプロバイダー協会(177企業・団体が加盟)など4団体が23日、「帯域制御(通信速度の制限)の運用基準に関するガイドライン」として発表する。

 総務省の推計では、日本のネットを飛び交うデータ量は、07年11月時点で毎秒812.9ギガビットで、3年間で約2.5倍に急増。1日あたりDVD—R約220万枚分のデータが流れる計算だ。

 渋滞の主因は、ネットを通じて不特定多数のコンピューターの間で音楽などのファイルを交換・共有する「ウィニー」などのソフトの利用者。ネット利用者の1%がファイル交換ソフトの利用で通信量の半分を占めているとの調査結果もある。動画投稿サイト「ユーチューブ」なども、通信量を急増させている。

 指針は「通信量増加には原則として設備増強で対応すべきで、通信速度制限は例外的な手法」とした。そのうえで、ファイル交換など特定のソフトの利用者や一定以上の大容量利用者がネットワークを占め、他の利用者の通信に支障がある場合は、こうしたヘビーユーザーに対して通信速度制限が認められると定めた。ただ、利用者への十分な情報開示が必要とした。

 総務省の昨年11月の調べでは、約4割のネット接続業者が速度制限を実施済み。NTTぷららやニフティは、ファイル交換ソフトによる一定以上の通信を制限対象にしている。インターネットイニシアティブ(IIJ)は、1日に15ギガバイト(DVD—R約3枚分)以上の送信を一定日数続けた利用者に警告。強制的な解約も規定している。(木村和規)

アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/business/update/0522/TKY200805220339.html