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2008年05月22日(木) 18時22分

切込隊長VSひろゆき 控訴審始まる──2ちゃんねる訴訟オーマイニュース

 「切込隊長」として知られている会社役員山本一郎氏(35)に関する「2ちゃんねる」の書き込みが名誉毀損になるかどうかをめぐる控訴審(大谷禎男裁判長)の第1回口頭弁論が22日、東京高裁で開かれた。控訴した2ちゃんねる管理人の西村博之氏(31)側は控訴状に関する証拠を提出。また、同控訴審で反訴状の用意を示した。

 同日は傍聴人が7人(記者を含む)。午後3時過ぎに開廷し、書面のやりとりが行われた。西村氏側は反訴状を提出する用意を示したが、山本氏側は「同意するかどうかを検討する」と回答を留保。また、書き込み内容の削除を求める内容を追加した。

 大谷裁判長は、「細かいやりとりが多くなるだろう」として、次回からは非公開となる弁論準備とすることを決定。「こちら側の裁判官は専門家ですから、ご期待に沿えると思います」と述べた。

 控訴状によると、1)1審判決の中で、西村氏の敗訴部分を取り消す、2)山本氏の請求を棄却する、3)訴訟費用は、1審、2審を通じて、山本氏の負担とする─など、「判決の全部に不服」としている。

 裁判の争点は、(1)山本氏に関する、2ちゃんねるの「投資一般」板に書かれた内容が名誉毀損にあたるのか、(2)西村氏が損害賠償義務を負うか、(3)書き込みの削除請求が妥当か、(4)名誉毀損の防御策として、「山本一郎」や「切込隊長」の文字があるスレッドを作らせるなとの要求が正当かどうか、など。

 東京地裁判決(2月18日)によると、主文は、1)西村氏は山本氏に80万円の損害賠償を支払え、2)書き込みの一部を削除せよ、3)その他の請求は棄却、4)訴訟費用は、5分の2が西村氏、5分の3が山本氏、5)損害賠償については仮執行ができる──というもので、書き込み内容について、ほぼ名誉毀損を認めている。

 次回は6月13日午前11時。弁論準備のため非公開。

 閉廷後、山本氏側の代理人・小倉秀夫弁護士は、記者の取材に応じた。

 ───1審の地裁判決はどう思いますか?

 小倉:いい判決だとは思わない。でも、(山本氏は)結婚したので、そちらにエネルギーを費やしたほうがいいと思って….(控訴しなかった)。

 ───西村氏側はどのような証拠を提出したのですか?

 小倉:(名誉毀損となる書き込み内容について)削除したというが、いつ削除したのかの証拠がない。

 ───公共性や公益性について、西村氏はこれまで主張しなかったが。

 小倉:公益目的とするには無理があるでしょう。単なる誹謗中傷で、面白がっているだけですから。くだらない内容でしょ。

 傍聴人:「くだらない」かどうかは主観ですよね?

 小倉:それは西村氏側が立証しなければならない。

 ───西村氏側は反訴状を提出しましたが、どのような内容ですか?

 小倉:ちょっと見ただけですが、山本さんのブログに西村氏を「禿げ」と書いた部分があり、それが名誉毀損というものです。同意するかどうかは検討します。

 ───主張はこれまで通り?

 小倉:こちら側は書き込み内容の発信の主体は西村氏自身だ、という主張です。アクセスや書き込みが多すぎて対応できないというが、DeNAの「モバゲータウン」は24時間の監視体制をとっており、やろうと思えばできるはず。あえて、そうしたシステムをとらないのは、PV狙いではないか。

 ───次回は非公開ですね。細かいやりとりだから?

 小倉:それもあるけど、いろいろ書かれたくないんじゃないですか。専門家と言っていましたが、インターネットの問題について詳しいのかも。

(記者:渋井 哲也)

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