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2008年05月22日(木) 03時02分

公的年金「プロが運用を」 経財会議の民間議員、提案へ朝日新聞

 制約が多く低い利回りに甘んじている公的年金150兆円の運用を、一流のプロに任せて効率化しよう——。政府の経済財政諮問会議の民間議員は23日の会合で、こんな提言をする。舛添厚生労働相も運用利回り向上には前向きの発言をしており、議論の行方が注目される。

 民間議員提案は、諮問会議の専門調査会(会長・伊藤隆敏東大院教授)が23日まとめる報告書に基づく。

 報告書は厚生年金や国民年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、厚労相が認可する5年間の中期計画で運用資産の構成に枠をはめられているため、機動的な運用ができない、と問題点を指摘。独法として人件費の削減義務を負っているため、高額の報酬を提示して一流の投資専門家を雇えない点も挙げた。

 巨額資金を単一組織で運用しているため小回りが利かないことも問題視した。これらの点の改革に09年までに道筋をつけるよう求めている。

 そのうえで改革後の姿として(1)政府が目標利回りと「国民が許容するリスク水準」を設定するが、それに基づく具体的な運用は専門家が判断(2)運用実績に応じた報酬を支払うなどして外国人も含む優秀な専門家を確保(3)基金を複数に分割して運用を競わせる(4)国際分散投資を強め、不動産を始めとする株式や債券以外の資産も投資先候補に加える——といった具体像を示した。

 内閣府によると、日本の公的年金基金は、06年度までの5年間の平均収益率が3.5%。一方、オランダは7.2%、スウェーデンは7.5%、カナダは10.4%。GPIFの運用成績は国際的に見て優秀とは言い難い。

 GPIFは中期計画で国債を中心とする国内債券67%、国内株式11%、外国株式9%などと資産配分を規定されている。運用資産のリスク水準に比べて期待される利回りが低いとの指摘もある。(庄司将晃)

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