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2008年05月22日(木) 00時00分

ケンカより競技で強くなる 山本良介(トライアスロン・トヨタ車体)朝日新聞

 好きなレース展開は、先行逃げ切り。理由は「かっこいいから。やっぱりアスリートは、かっこいい存在であるべきですよ」。

「こういう取材を待ってました」と、私服の撮影にもノリノリ。「本当はファッション雑誌にも出たいですよ」=荒井昌明撮影

 今月2日のアジア選手権で優勝し、北京五輪行きを決めた。すると、新聞やテレビの取材が殺到し、急に忙しくなった。「でも、必要なこと。トライアスロン人気のためにも」。もともと目立ちたがり屋な性格で、露出は嫌ではない。自分を多くの人に知ってもらおうと、2年前からブログも始めた。「レースだけじゃわからない。素の自分がどんな人かを伝えたくて」と言う。

 水泳1.5キロ、自転車40キロ、ランニング10キロで争うトライアスロンは、最も過酷なスポーツと言われる。練習は毎朝7時からランニングを15キロ、間を空けて自転車を100キロ、水泳を5キロ。コツコツ努力するのは好きではないというが、「日々強くなるのが実感できて、おもしろい」。1日6〜8時間を練習に費やす。

 休日も活動的だ。友人と必ず外出する。去年まではサーフィンをしたり、夜はクラブで踊ったり。ただ、五輪の今年はさすがに「省エネです」。京都市内での買い物程度に抑えている。

 実は、かなりの「ワル」だった。高校時代は学校をさぼって友人とバイクを乗り回し、相手を見つけてはケンカの毎日。金髪やモヒカンなど髪形もいろいろ試した。仲間内ではリーダー格だった。

 それでも、友人やコーチと会うのが楽しくて、小学生の頃からやっていた水泳は続けた。「プールの裏に400ccの単車をとめて。さすがに、堂々と表にはとめられなかった」

 母子家庭だったこともあり、母には特別な思いがある。五輪が決まった時、多くを語らず、ただしっかり手を握ってくれた母。今も一緒に暮らすが、普段はそれほど会話をしない。「言葉よりも、見てもらうのが一番」。北京では、とびきりかっこいい姿を見せるつもりだ。(瀬谷洋平)

 やまもと・りょうすけ 79年5月、京都市生まれ。トヨタ車体所属。小学4年で水泳を始め、水泳クラブのコーチに勧められて高校3年からトライアスロンの道へ。04年のアテネ五輪では補欠だった。得意な種目は自転車。06年ドーハ・アジア大会4位。178センチ、66キロ。

http://www.asahi.com/kansai/sports/OSK200805220010.html