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2008年05月21日(水) 08時02分

「縦割り」排除に新法 消費者庁構想案 法律移管、閣僚折衝へ産経新聞

 政府が来年度に創設する「消費者庁」の構想案が20日、明らかになった。「縦割り行政」のすき間に陥っていた重大事案に対処するため、地方自治体の消費生活センター設置を明記した新法を制定して情報を細かく吸い上げた上で、常設する担当相に強い勧告権を持たせる。消費者庁には他省庁から25前後の法律を移管し、関係法令を集約した食品表示法、消費者信用法の新たな制定も検討する。

 政府は21日の消費者行政推進会議(座長・佐々木毅前東大総長)で構想案を議論し、6月上旬にも最終報告をまとめる。岸田文雄消費者行政推進担当相は22日以降、移管対象の法律を所管する閣僚との折衝を本格化させ、秋に想定される臨時国会で関連法案の提出を目指す。福田康夫首相はこうした方針を了承しており、20日に首相官邸で会談した岸田氏に「がんばってくれ」と指示した。

 首相は19日にパロマ工業製のガス湯沸かし器事故で子供を失った遺族と面会した際、「必ず消費者庁を作る」と述べた。同様の死亡事故が過去に発生していたのに縦割り行政の弊害が教訓とならなかった事態を重視し、すき間事案に消費者庁が主導権をもって対処することを強く打ち出した。

 消費者庁は内閣府の外局とし、消費者行政全般を担う司令塔として総合調整を行う。下部組織に証券取引等監視委員会のような国家行政組織法8条に基づく有識者による合議制の委員会を設置し、消費者庁の行政処分について消費者側の視点で意見を具申する。

 目玉の1つとなる相談窓口の一本化は、各都道府県などにある消費生活センターの設置を初めて法律で明記する。センターが重大と判断した情報はただちに国に通知させ、消費者庁には問題業者への立ち入り調査権も持たせる。また、悪質商法で違法に得た収益を没収し、被害者に充てる新法の制定も検討する。

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