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2008年05月20日(火) 20時17分

赤ちゃんポスト3月までに17人、9人の身元判明 熊本朝日新聞

 熊本市の慈恵病院が「こうのとりのゆりかご」の名称で運用する赤ちゃんポストについて、熊本市は20日、昨年5月の運用開始から今年3月末までに預けられた子の人数や性別、健康状態、その後の処遇などを初めて公表した。託されたのは17人で、男児13人、女児4人。手紙や親からの連絡などで9人の身元が判明した。関東や中部、中国から各2人、九州は3人で、全員が熊本県外だった。それぞれ、出身地の児童相談所に保護された。身元がわからない残り8人は幸山政史・熊本市長が命名、熊本市で戸籍を作り、県内で育てられている。

 市や病院は運用開始以来、プライバシー保護などを理由に、預け入れの有無や人数など一切を発表してこなかったが、10日に運用開始1年を迎え「より多くの人がこの問題を考えるきっかけになるように」と公開した。

 預け入れ時、生後1カ月未満の新生児だったとみられるのは14人、1歳未満の乳児が2人、1歳以上の幼児が1人。治療が必要とされた子が2人いたが、病状などは明らかにしなかった。新生児のうち体重1500グラム未満の極低体重出生児はおらず、1500〜2500グラムの低体重出生児が2人。12人は2500グラム以上。障害のある子もいたとみられるが、障害児の有無については明かさなかった。

 13人の傍らに手紙やおもちゃなどが残されていた。手紙には「すみません」「育てられません」とだけ書かれたものや、生年月日や名前など数枚にわたり詳しくつづられたものも。会見した幸山市長は「つらい思いがうかがえるものもあった」と語った。

 親などが事後に電話やメールなどで病院に連絡してきたのが5件で、うち1件は病院などとやりとり後、親が子どもを引き取りに来ていた。

 当初は住所の手がかりがなかった9人について、熊本市が新たに戸籍を作ったが、うち1人は後に身元が判明し、熊本市の戸籍は破棄された。身元がわかった9人については、出身地での出生届が確認されたり新たに出されたりしたとみられる。

 市は昨年9月、ポストの利用状況を短期的に検証する会議を設置。「運用1年」を機に、検証会議が検討し、障害の有無や手紙の内容など「個人特定につながる」ものをのぞき、公表に踏み切った。(岡田将平)

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