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2008年05月20日(火) 19時39分

「同じ病気の子と友達に」 難病と闘う慧音くんの願い朝日新聞

 焼き肉のつぼ漬けカルビが大好物で、テレビドラマを見るのも好き。お兄ちゃんとゲーム機を取り合うこともある。川崎市宮前区の孫(そん)慧音(けいん)君(9)は3人兄弟の末っ子。ちょっと変わった名前はケイン・コスギのファンのお母さんが付けてくれた。周りの子と違うのは、ロスモンド・トムソン症候群という難病と闘っていること。「同じ病気の子と友達になりたい」と願っている。

川崎市宮前区の自宅でくつろぐ孫慧音君と両親=有吉写す

 「生後1週間で顔に赤い湿疹が広がり、ミルクを吐くようになって病院を回りましたが、初めは何の病気か分かりませんでした」と母親の理奈さん(39)。半年後に白内障と分かり、ロスモンド・トムソン症候群と診断された。

 世界でも珍しい皮膚や骨、目の病気。慧音君の皮膚は赤くなったり黒ずんだりして、汗がかけない。皮膚がんになる可能性も高く、日焼け止めが欠かせない。免疫力も弱い。手足の関節が次第に硬くなったが、曲がった両手首でペンをしっかりはさんで字を書いたり、パソコンを使ったり。電動車いすも操る。

 「同じ病気の子と会って、友達になりたい」と慧音君は望む。もちろん最大の願いは病気が治ること。病院通いや手術が続いているが、「お医者さんになりたい」とも。テレビドラマでも医療現場を舞台にした作品が特に好きだ。

 「見た目に影響する病気なので、外出すると周囲の視線が刺さるようなこともある。友人でも気を使って聞いてこないので、私から病気を説明するようにしています」と理奈さん。情報発信のためにホームページhttp://www.t−make.com/keinmama.htmlも立ち上げた。

 父親の政郁さん(38)は元ビーチバレーの日本代表選手。ソウル市出身で日本国籍を取得し、シドニー五輪を目指していた。慧音君が生まれた頃は、海外遠征続きだった。

「家族が必要としているときにそばにいなければと思った」と選手生活にピリオドを打った。今は5カ国語の通訳の仕事をして、家族を支えている。「海外でも症例が少ない難病。研究が進んで治療法が見つかることを信じています。何か情報があったら教えて欲しい」と求めている。(有吉由香)

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