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2008年05月19日(月) 21時40分

「税方式」導入なら消費税12−18% 公的年金で試算朝日新聞

 政府の社会保障国民会議は19日、基礎年金の財源をすべて税でまかなった場合、50年度までの間に消費税率を最大12〜18%の水準まで引き上げる必要があるとの試算を公表した。保険料負担は減るが、増税分との差し引きで年金受給者や会社員世帯では負担増となる。一方、厚生年金の拠出金がなくなる企業の負担は減る。

  

 基礎年金を巡っては、保険料と税を併用する現行の「保険方式」を見直し、全額税で賄う「税方式」に改めるべきだとの考えが、民主党や経済界のほか、自民党の一部にもある。税方式に伴う負担のあり方を具体的に示した今回の試算は、今後の年金制度の議論に影響を与えそうだ。

 試算は内閣官房が中心に作り、国民会議の雇用・年金分科会に示された。09年度に一斉に保険料徴収をやめ、消費税を財源とした税方式に切り替えることを前提に50年度までの年金財政を推計。09年度には国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げるため、その財源として消費税率1%引き上げも織り込んだ。

 試算は4通り。現行の給付水準(6万6千円)維持を前提に(1)加入歴にかかわらず、すべての高齢者に満額支給(2)過去に未納期間があればその分を減額。また基礎年金を全員に支払ったうえで、加入歴に応じて(3)今の保険料相当分(3万3千円)を上乗せ(4)今の給付全額分(6万6千円)を上乗せ——に分けた。

 消費税率が最も高くなるのは、給付の上乗せ額が大きい(4)で、09年度には18%が必要になる。一方、(1)は保険料を支払ってきた人と未納者の間で不公平が生じる。(2)は未納期間があれば、その分減額するため不公平は生じない。必要な財源も最も少なく、実現可能性は高いといえる。だが、現在の無年金・低年金の人は救済できない。

 家計への影響も初めて試算。保険料減と消費税増の差し引きを世帯別に見ると、高齢者世帯で負担が重くなることがわかった。(2)では35〜44歳で月額の負担増が会社員世帯で1千〜2千円なのに対し、65歳以上や年金受給世帯では7千〜8千円になる。

 一方、企業は現在約3兆円の負担がなくなる。(2)では従業員1世帯あたり2千〜9千円の負担減。経済界では「企業負担が減る分は従業員に還元する」としているが、具体策は示されていない。

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