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2008年05月19日(月) 21時32分

3メートルの高潮が川を40キロ遡上 ミャンマー被害朝日新聞

 ミャンマー(ビルマ)のサイクロン災害で、海面が強い低気圧で吸い上げられたり、強風で海岸に吹き寄せられたりして発生する高潮が、ヤンゴン川の河口から約40キロ上流の市街地でも3メートル以上の潮位を記録したことが19日、日本の土木学会の調査でわかった。紀伊半島沿岸や伊勢湾を襲い、約5千人の死者・行方不明者を出した59年の伊勢湾台風に匹敵する。

 調査チームの横浜国立大学の柴山知也教授(土木工学)らが11〜15日、ヤンゴン川の河口から21〜65キロの約10地点で高潮を目撃した住民から聞き取り、当時の状況を推計した。ヤンゴン川の川幅は河口付近は8キロあるが、約40キロ上流のヤンゴン付近では3キロに狭まっている。周辺では高潮で水かさが3メートル以上増え、河川水が高さ約5メートルの堤防を乗り越えて市街地に流入したらしい。場所によっては波高を含めて4メートル以上になった可能性がある。高潮は丸2日で引いたとみられる。現地では、樹齢50年以上の木や電柱がなぎ倒され、田畑が水に浸ったあとが見られたという。

 軍事政権による規制が厳しく、ヤンゴン川の河口付近や西部のイラワジ川流域の調査は許されなかったが、調査チームは「高潮は海岸に近い方が壊滅的なダメージを与える」と指摘している。

 05年のハリケーン・カトリーナ(米国)や07年のサイクロン・シドル(バングラデシュ)でも高潮による被害が報告された。

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http://www.asahi.com/international/update/0519/TKY200805190253.html