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2008年05月19日(月) 20時26分

軍政、日本などに被災地視察の参加を打診 ミャンマー朝日新聞

 【バンコク=山本大輔、シンガポール=杉井昭仁】サイクロンに襲われたミャンマー(ビルマ)の軍事政権が、日本など30カ国に対し、最大被災地のデルタ地帯を視察するツアーへの参加を打診していることが19日、外交筋の話で分かった。参加者の人選は各国次第だとしており、各国3人まで入国を許す方針だ。

 軍政はまた、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国から医療チームを受け入れることを認めた。インドネシアのハッサン外相はシンガポールで記者団に「各国は30人規模のチームを21日にも出発させるだろう」と語った。

 在ヤンゴン外交筋などによると、視察は23日の予定で、中国やインド、欧米諸国などから21日までの入国を求めている。視察地は被災者への支援態勢が整った避難所などに限られるとみられる。21日からミャンマー入りする予定の国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長も参加する可能性があるという。

 軍政は19日、潘氏の訪問に先駆けて同国入りしている国連のホームズ緊急援助調整官にもデルタ地帯の視察を許すなど、国際社会の代表者を次々と被災地へ案内しだした。

 軍政側が、国連や欧米諸国からの支援要員を拒み続けることに非難が強まるなか、軍政が条件つきで国際社会の人的支援の受け入れを認めたのは、地域機構としてのASEANの体面を立て、これ以上の批判を避ける狙いがあるとみられる。援助の行き届いた一部の被災地を各国の代表者に視察させることで、軍政が被災者救済に取り組む姿を演出したい考えだ。

 18日夜には中国の医療チーム50人が32トンの食糧物資とともにミャンマー入り。四川大地震で被害が拡大しているなかでの人的援助として、ミャンマー国営放送が速報した。中国が3日間の喪に服したのを受け、ミャンマーも20日から3日間の喪に服することを発表。被災から2週間以上たって初めて半旗が掲げられる。

 一方で、国連世界食糧計画(WFP)は19日の会見で、被災者250万人が必要としている援助物資の3割強しか届いていないと公表し、「援助のペースが遅く、物資の量も圧倒的に不足している」と危機感を示した。サイクロンの死者・行方不明者は19日現在、軍政側の発表で約13万4千人に上っている。

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