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2008年05月19日(月) 19時32分

コメ不足のフィリピンに20万トン支援検討 政府朝日新聞

 政府は、93年のウルグアイ・ラウンド合意で輸入が義務づけられたミニマムアクセス(MA)米の在庫から、食糧確保に苦しむフィリピンに20万トンを送ることを検討していると明らかにした。日本から一国へのコメの緊急支援では、00年度に北朝鮮へ国産備蓄米50万トンを送って以来の大規模支援となる。

 農林水産省の白須敏朗事務次官が19日の定例記者会見で明らかにした。フィリピンのヤップ農業省長官から若林農水相にあてて、20万トンの支援を要請する文書が外交ルート経由で16日に届いたという。白須次官は「財政当局などと調整しながら前向きに検討していきたい」と語った。

 MA米の在庫は今年3月時点で約120万〜130万トン。無償支援か貸与、売却とするかなどは未定。MA米の購入費は05年度だと1トン平均7万円程度で、20万トンを無償支援すれば単純計算で140億円の負担となる。政府の途上国援助(ODA)予算をさくか、農水省の食糧管理特別会計でまかなうかなども調整する。

 フィリピンは世界最大級のコメ輸入国で、年間消費量の2割弱にあたる約200万トンを輸入している。有力な輸入先のベトナムが病害虫や台風の被害で06年末に輸出規制を始めたことなどからコメ不足に陥った。

 MA米は年間約77万トンの輸入が義務づけられており、半分以上が米国産。米国は日本国内での消費を求めてきたが、食糧高騰をうけて支援への転用を認める声明を15日に出した。

 政府米とは別に、社団法人米穀安定供給確保支援機構(東京)がもつコメを民間取引としてフィリピンに送る交渉も進んでおり、白須次官が会見で正式に認めた。機構がもつ6・8万トンのうち「輸出可能なのは5万トン」(同次官)という。

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