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2008年05月19日(月) 03時19分

しなやかグリーンの太陽電池 三菱商事など実用化にメド朝日新聞

 黒色以外が難しいとされた太陽電池で、三菱商事と産業技術総合研究所、有機EL製造装置大手トッキのチームが鮮やかな緑色の試作品を開発した。次世代技術として期待される有機材料を用いた薄膜太陽電池で初めてとなる製品化を年度内に目指す。

三菱商事などが試作した有機薄膜太陽電池。緑色で、自在に折り曲げられる

 太陽電池は無機材料のシリコンを用い、黒色を変えることは難しいとされてきた。今回、有機ナノテク素材のフラーレン(黄色)と、染料などに用いるフタロシアニン(青色)を半導体材料として層状に重ね、緑色になった。フタロシアニンの代わりに別の材料を用いると赤色にもなる。

 厚さは100ナノメートル(ナノは10億分の1)程度で、マイクロメートル(マイクロは100万分の1)単位の厚さになるシリコンの太陽電池よりはるかに薄く、自在に曲げられるのも特徴だ。

 課題は太陽光を電気にする変換効率がまだ低いことだが、三菱商事は「産業用発電には、まだ難しいが、色彩を生かした需要はある」(担当者)とみる。見た目の良さを利用して、携帯電話の充電用など、カバンなどに取り付けるデザイン商品としての製品化を目指すという。

 試作品は23日から、G8環境相会合に合わせて神戸市内で開かれる「環境フェアinKOBE」で展示される。(斎藤徳彦)

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