記事登録
2008年05月19日(月) 00時00分

友梨さん不明から20日で5年、同級生らが似顔絵朝日新聞

 大阪府熊取町の吉川友梨さん(14)が下校途中に行方が分からなくなってから20日で5年となる。父親の永明さん(47)は18日、地元の住民らと一緒に同府泉南市のショッピングセンターで情報提供を求めてビラを配った。ビラには、ブレザー姿の少し大人びた友梨さんの似顔絵があった。「友梨ちゃんに中学の制服を着せてあげたい」と、友梨さんが3年生として在籍する中学に通う生徒たちが、今の姿を想像して描いた。みんな待っているから——。そんな願いが笑顔に込められている。(滝坪潤一)

同じ中学の生徒たちが今の姿を想像して描いた吉川友梨さん

     ◇

 紺のブレザーにチェック柄のスカート。町立熊取北中学校の制服を着た友梨さんがピースサインをし、花畑の前で笑みを浮かべている。

 ビラに掲載された似顔絵は、もとは縦1.5メートル、横2メートルほどの水彩画だ。同中の1〜3年生13人が作成し、昨年11月の文化祭で発表した。

 同中では、全生徒がいくつかのグループに分かれて文化祭に取り組んでおり、13人はそのうちの1グループのメンバー。「友梨ちゃんのために何かできないか」「メッセージを送ろう」「中学校の制服を着せてあげたい」——。教室で話し合い、絵を描くことを決めた。

 絵の得意な数人の生徒が、9歳のころの友梨さんの写真をもとに鉛筆で下絵を描いた。顔、髪、制服……。13人が交代で絵の具を塗り、仕上げていった。「友梨ちゃん、どうしてるんかな」。放課後になると、グループ以外の生徒も輪に加わった。

 絵に添える言葉も考えた。「頑張れ」という意見も多かったが、みんなの思いを表すこの言葉に決めた。

 「みんなが待ってる その笑顔」

 友梨さんは行方不明になった後の06年春、同中に入学した。いまは「3年3組」に机がある。担任教諭は「欠席」の印をつけ続けている。

     ◇

 〈友梨さん失跡事件〉 大阪府熊取町七山で03年5月20日午後3時ごろ、町立北小学校4年だった吉川友梨さんが、遠足を終えて学校から帰宅途中、自宅から約200メートル離れた商店街で目撃されたのを最後に行方不明になった。府警は、何者かが車を使って友梨さんを連れ去った可能性が高いとみており、現場付近で目撃された4種類の不審車両の特定を進めている。

 警察庁は昨年7月、有力情報提供者に300万円の懸賞金を出すことを決めている。情報は泉佐野署捜査本部(072・464・1234)へ。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805180044.html