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2008年05月17日(土) 06時07分

デジタル録画の「ダビング10」開始先送りへ朝日新聞

 デジタル放送を録画機やパソコンのハードディスクに録画するときの新ルール「ダビング10(テン)」の開始が、予定の6月2日から先送りされる見通しになった。録画をコピーできない現行ルールより、使い勝手がよくなるはずだったが、著作権料をめぐる業界や団体の調整が遅れ、開始が難しくなった。

 放送会社や録画機メーカーなどでつくるデジタル放送推進協会(Dpa)が14日、「ダビング10の運用開始日時を確定できない状況だ」と表明。6月2日が迫っているが、準備期間を考えると延期は避けられない状況だ。

 背景にあるのは、著作権料の一種「私的録音録画補償金」をハードディスク内蔵録画機などにも課す、文化庁の制度改正案をめぐる衝突だ。補償金を実質的に負担することになるメーカー側が課金に反発。一方、著作権団体側は、制度改正が認められなければ、ダビング10の導入を認められないとの立場だ。

 地上・BSデジタル放送の大半の番組には現在、「コピーワンス」の制限がある。最初に録画機に録画したあとは、DVDや別のレコーダーへの移動(ムーブ)しかできない。DVDなどに書き込むと同時に録画機内の録画を強制的に消してしまう仕組みだ。デジタル放送の映像は、技術的には何回ダビングしても画質が落ちないため、著作権を守る目的で採り入れたルールだ。

 しかし、アナログ放送の時代より不便で、移動に失敗すると取り返しがつかない。消費者の不満が強く、DVDなどへのダビングもある程度はできる「ダビング10」の導入が決まった。

 北京五輪では、デジタル放送の録画や関連機器の需要が高まるとみられる。Dpaは「関係者の合意が得られ次第、日時を確定したい」としているが、消費者には混乱が生じそうだ。メーカー側が29日の文化審議会で補償金課金受け入れを表明するかどうかが焦点になっている。

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