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2008年05月17日(土) 12時00分

架空請求:偽造契約書付け「振り込め」 新手口に注意呼びかけ /北海道毎日新聞

 「利用料請求」などの名目ではがきやメールを送り付ける「架空請求」で、署名した覚えのない「契約書」を同封し、現金の振り込みを要求する新手の手口が現れた。送られた人のサインだけでなく印鑑も押されるなど細工は巧妙だ。道消費生活センターは「前例のない手口。有印私文書偽造の疑いもある」と指摘している。
 札幌市の60代女性宅に「重要書類」と記された封書が届いたのは3月。差出人は岐阜県でインターネットのサービスサイトを運営しているという会社。封書には、「12カ月分の未払いのシステム利用料4万円の債権」を岐阜県内の別の会社に譲渡した、とあった。
 女性は放置していたが、4月初めに2通目の封書が「譲渡先」とされた別会社から届き、「同封の契約書の写しの通り(1通目の会社との)契約に基づき請求している。4月下旬までに4万円を支払わなければ簡裁に訴える」とあった。
 同封された書類は「フランチャイズ加盟店契約」と題し、女性の住所と氏名が書かれているほか押印もされており、「契約相手」は1通目の会社だった。女性はどの会社ともかかわりはなく「どこで情報を手に入れたのか」と気味悪がる。
 1通目を送ってきた会社は、毎日新聞の取材に「(女性は)確かに契約している」と主張。契約内容などは「個人情報で答えられない」と繰り返し、さらに取材を進めようとすると電話を切った。
 同センターに寄せられた架空請求に絡む相談件数は07年4〜12月で452件。前年同期比で8割減と、社会問題化したことで大幅に減ってはいるが、同センターでは「振り込まなくても偽契約書を同封することで不安感をあおって連絡させ、個人情報を聞き出す可能性も。安易に電話しないで」と注意を呼びかけている。【吉井理記】

5月17日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080517-00000047-mailo-hok