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2008年05月17日(土) 14時11分

ES細胞治療の臨床試験、米ベンチャーが申請 当局留保朝日新聞

 【ワシントン=勝田敏彦】米国のバイオベンチャー、ジェロン(本社・カリフォルニア州)が、さまざまな組織の細胞になるヒト胚(はい)性幹(ES)細胞を使った脊髄(せきずい)損傷治療の臨床試験(治験)を、米食品医薬品局(FDA)に申請したことがわかった。実施されれば、世界初のES細胞の医療応用となる可能性があるが、FDAは実施の留保を同社に指示した。

 同社は、脳や脊髄の神経細胞(ニューロン)を保護する役目を持つ細胞をヒトES細胞から育て、ヒトの脊髄に移植することを計画している。ネズミの実験で神経を保護するミエリンと呼ばれる物質ができ、ヒトの神経細胞を使った試験管内実験では拒絶反応が少ないことがわかったことなどから、同じ手法を実際の患者に応用する。

 実施の留保を求めたFDAは、ES細胞の性質に未知のことも多く治験に慎重になっているとみられる。同社は14日、「今回のFDAの動きに失望している」などとする声明を発表した。

 脊髄損傷の治療は再生医療の目標の一つ。交通事故やスポーツ事故などで損傷した脊髄の神経は切れると再生できないため、さまざまな治療が試みられているが、決定的なものは見つかっていない。

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http://www.asahi.com/science/update/0517/TKY200805170051.html