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2008年05月17日(土) 14時06分

「障害が治る水とだまされた」 主婦ら販売会社を提訴へ朝日新聞

 「バイオシーパルス」(福岡市博多区)が会員制で販売した家庭用電気機器のうたい文句やその販売方法をめぐり、同社側と購入者の間で対立が起きている。「『波動の伝わった水を飲むと、病気や障害が治る』などのうその宣伝で高額な製品を買わされた」などと訴えている障害児の母親ら一部の会員は、近く損害賠償請求訴訟を起こす見通し。一方、同社側は「病気が治るなどと一度も言ったことはない。販売方法も違法ではないと認識している」と全面的に反論している。

 同社の資料などによると、同社は00年ごろから、「体内に微量の電流を流し、体の波動を測ることができる」という「波動測定器」(約60万円)や、その「波動エネルギー」を転写し、それぞれの人にあった水が作れるという機器「パワーウェーブ」(約18万円)などを販売している。

 購入者らによると、同社側は機器を販売する際、「波動の伝わった正しい情報を持つ水を1日2リットルほど飲めば、痛みが消えたり、病気が治ったりする」とうたっていたという。購入者は「会員」となり、別の購入者を紹介した場合には紹介料が得られ、数多く購入すればランクが上がって紹介料も上がる仕組みになっているという。

 訴訟を準備しているのは会員のうち約80人。代理人の弁護士は、計約2億6千万円の損害を確認したとしている。まず、北海道や高知県などに住む40〜70代の主婦や元会社員ら6人が、同社と社長、「波動エネルギー」を研究して会員に情報を提供している「日本波動科学研究会」を相手に総額1億円の賠償を求めて東京地裁に提訴する方針。原告は知的障害がある子どもの母親や高齢者で04年2月ごろから、自ら機器を購入したほか、「パワーウェーブなどを大幅な割引で購入でき、ほかの人に再販売すれば利益が得られる」などと言われ、約600万〜5千万円の契約をした。この際、もし商品が売れなくても、同社が販売すると説明されたと主張している。

 同社の社長によると、会員は東京、大阪、沖縄などを中心に約1万4千人で、全体としては西日本が多いという。朝日新聞記者の取材に対し、社長は「ごく一部の販売員たちが医療行為のようなことをしていただけ。私は波動をあくまで民間療法だと説明しているし、研究会がやっていることは研究なので違法ではない。販売方法も問題はないと考えている」と説明。「訴訟準備を進めている方については、解約に応じるつもりだ。しかし、返金できるのは、30%の解約料や販売マージンなどを差し引いた分。内容を精査するのに時間がかかる」と話している。

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