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2008年05月17日(土) 00時00分

社会人対象に通信制の「まちづくり大学院大学」朝日新聞

 社会人を対象にまちづくりの専門家を育てる通信制の「文化政策・まちづくり大学院大学」が来春、京都市下京区の中学校跡に開設される見通しになった。池上惇・京都大名誉教授(文化経済学)が学長に就き、作家の辻井喬さんら著名人が多数、客員教員を務める。まちづくりに特化した大学院大学は全国で初めてという。

池上惇・京都大名誉教授

 京都市から、閉校した中学校の4教室の提供を受け、大学本部にする。高い専門性を持つ修士を育てる大学院機能に絞り、将来は博士課程も置く予定。インターネットを活用した通信制だが、月2回は京都市内で対面授業や町家などでのフィールドワークをする。年間授業料は約70万円。文部科学省に設置許可を申請中で、許可が出れば12月ごろから学生25人ほどを募るとしている。

 教員は専任9人、客員64人。池上さんが大学や審議会などで知り合った人たちだ。客員では、辻井さんが「近現代日本芸術思想論」を担当するほか、さわやか福祉財団理事長の堀田力さんが「現代NPO論」、元京大総長の西島安則さんが「自然と人間」、大原美術館(岡山県倉敷市)の大原謙一郎理事長が「倉敷学」を受け持つ。

 経済や建築の側面からだけでなく、芸術や文化に着目したまちづくりが必要と考える池上さんが、専門知識を身につけた人材の育成を呼びかけ、植木浩・元文化庁長官と福原義春・資生堂名誉会長らが発起人になって、大学運営に充てる寄付計7875万円を集めた。

 池上さんは「企業人やまちづくり担当の自治体職員にも入学してもらいたい」と話す。問い合わせは同大学院大学設立準備室(075・354・9510)。(菱山出)

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805170047.html