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2008年05月16日(金) 10時04分

アフィリエイト市場動向japan.internet.com

近頃、アフィリエイト広告市場に元気がないという言葉をよく耳にするが、先日、矢野経済研究所が発表した「2008年版アフィリエイトサービス市場白書」によると、2007年度(見込み)のアフィリエイト市場規模は697億9,000万円と前年比135%の伸びとなったようで、着実にマーケットは大きくなっていることがうかがえる。

また、同白書の広告主へのアンケートによると「注力したいインターネット広告」において検索連動型広告を抑え、アフィリエイトが堂々の1位に選ばれており、また「最も望ましいインターネット広告の支払い形態」でも成果報酬型を望む広告主が8割近くを占めている。

1999年にバリューコマースがサービスを開始してから9年が経ち、アフィリエイトマーケットは着実に拡大しており、また上記のアンケートからもわかるように、広告主の期待も大きいことが伺える。リスクの少ない広告手法として広がってきたアフィリエイトだが、最近はその手法に変化が表れてきている。

広告主も多くのネット広告に出稿し、様々なデータを取得し多くを学習することで、アフィリエイトのリスクを感じるようになってきているのだ。そのリスクは大きく3つに分けることができる。

1.獲得したユーザーの質が悪い
2.掲載サイト上での表記が不明
3.運用に手間がかかる

1について、アフィリエイトから獲得したユーザーは、アクティブな会員やリピーターにあまりつながらず、広告主に収益をもたらしにくいという声をよく聞く。これが「質」が悪い、ということである。

成果報酬型とはいえ費用をかけて集客したにもかかわらず、広告主にとっては全く意味のないお客さんになっているケースが多いのだ。何故このようなことが起こるかというと、ポイント媒体や本人申込みなど、成果に対してインセンティブを付与するようなプロモーションの場合に多く見受けられる。ユーザーはインセンティブを目的にアクションを起こすため、本質的な広告主のサービスに目が向いていない場合が多いためである。

2は無数にあるアフィリエイトサイトが広告主の商品やサービスを紹介する際に、どのように表記がなされているか分からない。というものだ。特に金融業界、化粧品、美容業界に多いのだが、近年、金融における法改正や薬事法などで、表記しなければいけないこと、表記してはいけないことがかなり明確になってきている。

しかしアフィリエイトサイトにおいては個人で運営するケースがほとんどのため、かなりきわどい表現で広告を露出することが多く見受けられる。ローンカードを例に挙げると、「審査がゆるい」「ブラックでも OK」など、商品性と異なったり法に触れたりするケースが後を絶たない。これが2つ目のリスクである。

上記2つのリスクを回避するためには、適切なメディアに限定し、数を絞って運用することで質と表記のリスクはかなり軽減できる。では、適切なメディアとは何かというと、1つは広告主のサービスにマッチしたカテゴリーのサイトが挙げられる。

これは特定ジャンルの比較サイトに代表される専門サイトである。専門サイトの場合、同じジャンルの広告が掲載されていることが多く、サービス内容に興味のあるユーザーの流入が期待できるため、質の極端な悪化にはつながりにくい。また専門サイトの中でも獲得力の高いサイトがある。こういった有力サイトとの付き合いを深めることで、多くの獲得が期待できる。

もう1つは運営元がしっかりしているサイトを選ぶことである。個人サイトがすべて悪いわけではないが、広告収入を生業としている法人企業の場合、かなり高い確率で広告掲載までの運用がしっかりしている。そのため、誤った広告表記によるブランド毀損の心配がほとんどない。こういったリスクを回避する施策を行っていく上で出てくるのが3の「運用の手間」である。

まずは ASP の選定から始まり提携サイトのチェック、掲載内容や広告文言のチェック、成果データのチェック、成果承認作業など、やらなければいけないことは枚挙にいとまがない。また、ASP を複数使う場合は上記の作業が複数発生する。ただ、このような作業をマメに繰り返すことで確実に獲得するユーザーの質は向上され、結果的に広告主に収益をもたらすことにつながっている。

弊社では、7人編成のアフィリエイトチームを組んでいる広告主とお取り引きをさせていただいているが、やはりこまめに運用することで驚くほど高い結果を残しており、その会社は毎年アフィリエイトでの獲得及びユーザーの質の目標を達成されている。今では ASP 各社も運用の支援をしたり、またアフィリエイト運用をアウトソーシングで請け負ったりする会社もあるので、上記課題のクリアは難しくなくなってきているのではと感じている。

また、最近の傾向として、リスティングとアフィリエイトを掛け合わせた集客が広がりを見せている。これは、リスティングワードをアフィリエイトサイトに購入させ、リスティングからアフィリエイトサイトに集客をしてコンバージョンさせるという手法である。メリットとしては、関連するワードを検索しているユーザーを獲得できるため広告主にとって質の高い集客ができる。

このようなサイトは数万ワードの購入を行うため、広告主自身が手を出せていないワードからも集客ができる可能性がある。

デメリットは、この場合サイトがリスクを取ってリスティングを購入するため、通常の成果報酬額ではなかなか引き受けてもらいにくい場合が多い。そうなると成果単価を引き上げる必要があるため、CPA が高くなる傾向にある。ただ、この手法の場合、数と質の両立が可能になるため広告主のニーズは非常に高い。今後ますます広がりを見せるやり方の一つになることは間違いないであろう。

(執筆:株式会社ネットマーケティング 岡村 誠一)

記事提供:株式会社ネットマーケティング

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