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2008年05月16日(金) 00時00分

井関農機、下請け代金10億不当に減額 公取委が勧告朝日新聞

 農機具メーカー大手の井関農機(本社・松山市)の子会社3社が、本社の指示で、農機具部品製造の下請け業者55社に支払う代金計約10億9200万円を不当に減額したとして、公正取引委員会は16日、下請代金支払遅延等防止法(下請法)に基づき、3社に減額分の返還と再発防止を求める勧告をした。本社にも今後、違反をしないよう指導した。

 公取委によると、04年4月に改正下請法が施行され、違反勧告した事例を原則として公表できるようになって以降の最高額。井関農機のIR・広報室は「原材料価格の高騰に対応するため、コストダウンを取引先にお願いした。06年7月〜07年4月に減額分を補填(ほてん)して計約9億円を支払っており、違反の認識はなかった」としている。

 公取委によると、違反行為をしたのは、本社が100%出資する連結子会社の井関松山製造所(松山市)、井関熊本製造所(熊本県益城町)、井関新潟製造所(新潟県三条市)。いずれも本社の指示で、コストダウン目標が達成できなかった月に、下請け業者から代金の請求を受ける際、「協力金」名目でもともとの契約額より低い額を請求するよう提案し、応じさせていた。松山製造所は06年5月〜07年4月に下請け52社に対し、計約10億2200万円▽熊本製造所は06年7月〜07年4月に14社に対し、計約6900万円▽新潟製造所は06年10月〜07年3月に1社に対し、約50万円を減額した。

 公取委の調べに対し、下請け業者の多くは「取引停止になるよりは、減額の提案を受け入れる方がいいと思った」と話しているという。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805160077.html