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2008年05月16日(金) 03時01分

貸金業法、「消費者庁」に 首相が移管の方針朝日新聞

 福田首相は来年度創設する「消費者庁」に、貸金業を規制する貸金業法を、金融庁から移管する方向で検討に入った。消費者相談のなかで消費者金融に絡む相談が多いことから、業者を取り締まる権限を消費者庁に与え、苦情に迅速に対応すべきだと判断した。ただ、金融庁は監督権限を手放すことに強く抵抗しており、調整は難航しそうだ。

 消費者庁が実効性のある組織になるかは、権限をどこまで集約できるかにかかっている。業界を規制する「業法」を、まるごと監督官庁から移管するのは異例で、消費者の目線で行政を見直すという首相の理念が試される。

 首相は先月、政府の消費者行政推進会議(佐々木毅座長)で消費者庁の所管分野として「商品・金融などの『取引』」を明示。内閣官房が今週、金融庁から貸金業法と金融商品販売法を移管する素案をまとめ、首相が了承した。

 国民生活センターによると、06年度に寄せられた消費者相談のうち、「フリーローン・サラ金」は12万4千件と2番目に多く、全体の約11%を占めた。消費者庁にも多くの相談や苦情が寄せられるとみられる。貸金業法を移管すれば、消費者庁が直接、業者を調査、指導できる。内閣官房幹部は「借り手である消費者保護の側面が強い法律であり、消費者庁が所管する方が望ましい」としている。

 これに対し、金融庁は「業態の垣根を越えた金融商品の一体化や経営のグループ化が進んでおり、金融システムの安定確保のためには一体的な監督が必要」と移管に難色を示している。事業者向け貸し出しまで消費者庁の所管になることへの異論もあり、最終的には金融、消費者両庁の所管とする可能性もある。(餌取稔也)

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