記事登録
2008年05月16日(金) 16時24分

<原田ウイルス>作者の大学院生に有罪判決 京都地裁毎日新聞

 自ら作成したコンピューターウイルスに人気アニメ画像などを組み込んでインターネット上に流出させたとして、著作権法違反と名誉棄損の罪に問われた大阪府泉佐野市中庄、大阪電気通信大大学院生、中辻正人被告(24)=無期停学中=に対し、京都地裁は16日、懲役2年、執行猶予3年(求刑・懲役2年)の有罪判決を言い渡した。現行法ではウイルスの作成や配布自体を罰することができない中、柴田厚司裁判官は「自己のウイルスを有名にしたいという動機に酌量の余地はなく、卑劣かつ巧妙だ」と指弾した。

【法廷イラスト】 起訴事実認めた 中辻正人被告の京都地裁初公判の様子

 判決によると、中辻被告は昨年11月、同級生の名前や顔写真とともに「感染破壊活動を開始する」などの言葉がパソコン画面に表示されたり、無断で添付した人気アニメの一場面が現れたりするウイルスを作成。ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」で不特定多数に配布した。

 弁護側は「ウイルス作成を理由に重く罰するのは罪刑法定主義に反する。また被害はウィニー利用者に限定され、悪質なウイルスではない」と罰金刑を求めていた。だが判決は「ネットの特性上、被害者の名誉棄損状態の解消は事実上困難で、悪質だ」とした。【熊谷豪】

 ◇起訴事実

 中辻被告は07年11月上旬、京都府内の同級生(23)の名前や顔写真とともに「感染破壊活動を開始する」などの言葉がパソコン画面に表れるウイルスをファイル交換ソフト「ウィニー」で流布させ、同級生の名誉を傷つけた(名誉棄損罪)。また同月28日、ウイルスに人気アニメ「クラナド」の一場面を無断で添付。ウィニーで配信し、アニメの著作権や著作者の人格権を害した(著作権侵害罪)。中辻被告が作成したウイルスは「原田ウイルス」という通称で知られる。

【関連記事】 コンピューターウイルス:名誉棄損事件 院生「こらしめが目的」−−地裁公判
【関連記事】 コンピューターウイルス:作成者逮捕…適用罪検討に半年
【関連記事】 原田ウイルス:世間で騒がれたかった…中辻容疑者が供述
【関連記事】 「おまえはもう死んでいる。このPCは自爆する…」原田ウイルスとは
【関連記事】 ウイルスが表示する伝説の美少女ゲーム「クラナド」がアニメ化

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080516-00000019-maiall-soci