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2008年05月15日(木) 00時00分

自己負担ない被爆者狙い架空診察、医師の登録取り消し朝日新聞

 広島社会保険事務局は15日、広島県呉市吉浦中町1丁目の「大竹医院」が、被爆者健康手帳を持つ患者を診察したように装って、診療報酬を不正に請求したとして、同医院の保険医療機関の指定と、医師の大竹一良理事長(78)の保険医登録を20日付で取り消すと発表した。不正請求は約5年間で8142万円に上るといい、同事務局が返還を求める。98年の時点で不正請求があったことが確認されており、同事務局は「原爆医療の根幹を揺るがす悪質な行為だ」としている。

 同事務局によると、02年10月から07年12月までに、36人の患者について不正請求があったという。実際には受診していない患者を診察したことにしたり、架空の投薬や注射などの診療行為をカルテに記載したりしていたという。不正請求に利用された患者36人中35人が、病院窓口で自己負担がない被爆者健康手帳所持者だった。同医院は手帳を持つ患者には領収書を出していなかったという。

 07年3月、呉市の被爆者の家族から「医療費通知を見ると、実際に受診している日より多く通院していることになっており、おかしい」と同事務局に指摘があり、調査していたという。

 大竹理事長は同事務局の調査に対し「患者本人にばれないと思った」などと話したといい、被爆者を狙ったことを認めているという。今後5年間は保険診療ができなくなる。

http://www.asahi.com/kansai/kouiki/OSK200805150083.html