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2008年05月15日(木) 00時00分

北京パラリンピック「金」狙う、車いすバスケのエース朝日新聞

 北京パラリンピックの車いすバスケットボール女子日本代表に内定し、エースとして活躍が期待されているのが、大阪市在住の大阪国際大2年、網本(あみもと)麻里(19)だ。中学の時に一般バスケから車いすバスケに転向。抜群のシュート力で、3位に入った00年シドニー大会以来のメダルを狙う日本を引っ張る存在だ。

大阪カップ3位決定戦のカナダ戦でプレーする網本麻里。「みんながボールを速く回し、守備ができていたのが良かった」=2月16日、大阪市中央体育館で

 生まれつきの骨の病気で、右足甲が床につく状態になる障害があった。2歳で手術を受けて歩けるようになり、小学3年からバスケットを始めた。中学1年で地区選抜選手に。選抜チームの監督だった東住吉中の浅埜(あさの)教諭は「動きにキレがあり、強気なプレーをしていた。3点シュートがよく入った」と振り返る。

 しかし、走ると足に負担がかかる。医者からはバスケをやめるよう言われていた。中学2年の時、バスケを断念。幼いころから五輪出場が夢だったので、「オリンピックに出られない」と泣き続けた。

 失意の中、母親から教えられたのが車いすバスケの存在だった。大阪の国体チームの練習で競技を初めて見て、「自分もバスケができる」とうれしくなった。ボールの扱い、パスやシュートの感覚は一般バスケと同じ。大きく違うのは、車いすの操作が必要なことだった。「右に向いたり、左に向いたりするのも頭で考えないとできなかった」

 近畿唯一の女子チーム「カクテル」に入って練習を積み、05年に初めて日本代表に。今年2月に日本、米、豪、カナダが参加した大阪カップでは、4試合でチーム最多の67得点。格上相手ばかりの中、カナダを破っての3位に貢献した。「自分たちのバスケをすれば勝てると分かったのが収穫。一番いい色のメダルがほしい」。車いすが体の一部になるくらいのレベルを目指して、練習に励んでいる。(伊藤秀樹)

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805150055.html