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2008年05月15日(木) 08時00分

総連詐欺事件初公判 「現金授受知らない」 緒方被告ら争う姿勢産経新聞

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の不動産や資金をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた元公安調査庁長官、緒方重威(しげたけ)被告(73)らの初公判が14日、東京地裁(林正彦裁判長)で開かれた。緒方被告は「中央本部をだまし取る犯意もなく、現金授受も知らなかった」と起訴事実を否認し、全面的に争う姿勢を示した。共犯とされた元不動産会社社長、満井忠男被告(74)も「起訴事実は全くない」と否認した。

 公判は、不動産詐欺と金銭詐欺のいずれも、両被告の犯意と共謀の有無−が主な争点。検察側は冒頭陳述で、緒方被告らは東京・六本木のビル地上げにからむ資金調達などを目的に、中央本部の転売益などを見込んで犯行に及んだとした。

 さらに、緒方被告が事件発覚後、不動産詐欺の共犯とされる元信託銀行員、河江浩司被告(43)=公判中=に「出資が確実と信じたことにするしかない」と口裏合わせを求めたことや、満井被告に「すべて私の責任」とするわび状を書かせようとしたことも明らかにした。

 一方、緒方被告側は「中央本部が競売にかけられることを合法的に回避するため、売却に関与した」とした上で、「取引に必要な資金を確実に用意できると信じていた」などと無罪を主張。満井被告側も、「現金の授受は総連側と話が付いていた」などと訴えた。

 起訴状によると、緒方被告らは平成19年3〜6月、中央本部の土地建物の売却先を探していたと総連側にうそをいい、不動産所有権と総連資金4億8400万円を詐取した。

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 ■貸付金返済装い1億円振り込み 検察冒頭

 緒方被告らが朝鮮総連から詐取したとされる現金4億8400万円のうち1億円は、満井被告が実質的に支配する医療機器開発会社「医療電子科学研究所」への貸付金の返済を装って、緒方被告の口座に振り込まれていたことが、検察側の冒頭陳述で明らかになった。検察側は、緒方被告らが詐取した総連資金を直接分配せずマネーロンダリングしていたと指摘することで、詐欺の犯意を立証する狙いだ。

 検察側によると、満井被告は、医療電子に架空売上を計上させて、詐取した総連資金から1億円を入金。その上で、緒方被告が同社に1億円を貸し付けていたかのように帳簿操作で装い、その返済金として7000万円と3000万円に分けて緒方被告名義の口座に振り込んだ。緒方被告も、同社からの入金が印字された通帳に「貸付金返済」と記入していた。

 一方、緒方被告側は「1億円が総連資金とは知らなかった」と主張。7000万円は満井被告が共同経営者の韓国人に返済する資金として預かったもので、残り3000万円は医療電子への実際の貸付金だったとして反論している。

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