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2008年05月14日(水) 00時00分

「ダビング10」延期 五輪商戦に暗雲読売新聞

 デジタル放送のコピー制限を緩和する新ルール「ダビング10」のスタート時期が、6月2日から延期される見通しとなったのは、著作権料の徴収制度にメーカー側が強く反対しているためだ。

 開始の時期が決まらない状態が長引けば、DVDレコーダーの買い替えを予定している消費者に混乱が広がりそうだ。(石井重聡)

DVD機の買い控えも

 情報通信審議会(総務相の諮問機関)は昨年夏にダビング10の導入を決めた際、音楽などの著作権者に支払う著作権料の一部を、メーカーが「補償金」として、ハードディスク内蔵型DVDレコーダーの価格に上乗せすることを想定していた。

 これに対し、メーカー側は「10回という制限を残すのであれば、補償金は不要だ」「放送局が支払う出演料に上乗せすればよい」などと主張し、今も対立が続いている。

 1台あたりの補償金は数百円と見られるが、家電メーカーは激しい価格競争を繰り広げており、販売価格に転嫁しづらいという事情がある。

 家電量販店などの店頭では、すでに「ダビング10」の解禁をにらみ、対応型の録画機器が販売されている。ただ、現在の設定では1回しかコピーできず、購入者はダビング10が実際に始まった時点で、専用ソフトを機器にダウンロードしなければならない。

 こうした手間を避けるため、ダビング10の延期に伴い、対応機器の購入を先送りする消費者が増えるとみられている。

 家電業界は、8月の北京五輪前に「デジタル機器の買い替えが増える」と期待を寄せる。ダビング10の開始が五輪に間に合わなければ、メーカー側は絶好の商戦を逃すことになる。

 このため、一部のメーカーからは「譲歩はやむを得ない」と五輪前の決着を求める声も出ており、「補償金交渉」が進展する可能性もある。

http://www.yomiuri.co.jp/net/feature/20080514nt0a.htm