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2008年05月14日(水) 03時07分

北海道開発局発注工事で官製談合、元部長ら3人逮捕朝日新聞

 発注する農業土木工事で国土交通省北海道開発局の幹部が自ら談合を主導した疑いが強まったとして、札幌地検は13日、同局の元農業水産部長・森繁(57)=札幌市西区=、部下だった元同部農業設計課長・永井良房(53)=同=、現職の農業調査課長・表(おもて)雅英(50)=同市豊平区=の3容疑者を入札妨害の疑いで逮捕した。3人は容疑を認めているという。

 森容疑者らは、あらかじめ落札する業者を決めた上で工事の「割りつけ表」を作成。建設会社に天下った同局のOBらを連絡役にして談合を進めた疑いが強いという。同局は旧北海道開発庁時代から国策として北海道開発を手がけ、現在も8千億円以上の年間予算をもっている。札幌地検は、同局側がOBの天下り先を確保する見返りに建設会社の便宜をはかったほか、業者の「共存共栄」も意図して組織的に不正を働いてきた疑いがあるとみて調べている。

 調べでは、森容疑者と部下の2容疑者は、06年2月に発注した岩見沢市の農業用水路建設工事の入札について4社に参加させた上で、東京に本社を置く準大手ゼネコンに落札させた疑いがもたれている。予定価格2億6652万円に対し落札額は2億4800万円で、落札率は約93%だった。

 森容疑者らは、06〜07年の複数の工事でも談合を調整した疑いが持たれている。いずれも落札額は数億円で、数十社の建設業者がかかわった疑いがあるという。

 札幌地検は同日、札幌市の同局や出先機関の札幌開発建設部などを家宅捜索し、関係資料を押収した。今後、業者側の関与についても調べを進める考えだ。

 同局をめぐっては、鈴木宗男衆院議員が受託収賄罪に問われたことにからみ02年11月、当時の局長が官製談合の事実を自ら認めて陳謝。その後、官製談合防止法が施行された経緯がある。

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http://www.asahi.com/national/update/0513/TKY200805130324.html