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2008年05月14日(水) 20時12分

【法廷ライブ】総連事件初公判(11)「総連の土地建物は“安倍マター”」産経新聞

 《緒方被告側の冒頭陳述は終盤にさしかかる。弁護人は、検察側の取り調べが違法なものだったことを印象づけようとしている模様だ》
 緒方被告の弁護人「8月5日の午前中の取り調べで、検事が被告の長女から緒方被告に送られた『たとえ被害者だとはいえ、大きな社会的な責任に関しては、謝罪するところは謝罪して下さい』というメールを示しました。検事は『あなたのお嬢さんだって謝っていかなければならないと言っている』などと自白を迫り、満井被告も全面自白しているなどと言ったため、緒方被告は絶望感のなかで署名・捺印しました。また、7月18日に弁護人からの接見申し出があったのに、接見を拒否したまま取り調べを続けたのは違法です」
 《緒方被告の弁護人は最後に、本件の土地・建物についての課税処分の状況などを説明。冒頭陳述を終えた》
 《続いて、満井被告の弁護人が立ち上がる。弁護人は時間がないため、省略しながら冒頭陳述の読み上げを行う、と述べた。検察側の筋書きが、真実とは大きくずれていると主張していくようだ》
 満井被告の弁護人「まずは満井被告が本件売買に関わった始まりについて。いわば検察側の筋書きのアナザーストーリー。満井被告は19年3月ごろ、朝鮮総連の許宗萬副議長に引き合わされました。許副議長は、整理回収機構(RCC)との訴訟の件に土屋公献元日弁連会長が取り組んでいるが、状況が難しく、土地・建物を失いかねないと話しました。許副議長は買い手を探して売り渡し、買い戻す方法で回避したいとしていました」
 《弁護側は、今回の売買が、満井被告にとって簡単に手を出せるようなものではなかったと主張した》
 弁護人「満井被告は政府筋の情報収集をしました。それによると、総連の土地・建物については安倍晋三首相(当時)がやっていて、“安倍マター”であるとのことです。つまり、容易に(売買を)了解することはできない案件ということです。満井被告は許副議長に『政治マターの取引には自分は表に出ることが出来ないが、総連側が(売買の)受け皿会社を用意するのであれば、出資先を探す』と言いました」
 《弁護側の主張は、買い戻し期限に関する許副議長と満井被告と交渉場面の再現に移った》
 弁護人「満井被告は3月29日、土屋元日弁連会長の事務所で、許副議長らに会いました。満井被告は『安倍マターで難しい。5年で買い戻すのではなく、1年で(買い取り先を)探して、1年後に改めて策を考えればいいのでは』と言いました。しかし許副議長は5年がいいとしました。満井被告はこの時、海外に数百億円の資金があるとか、自分が支配するファンドを取り崩して資金を調達するとは言っていません」
 弁護人「4月13日ごろ、土屋元日弁連会長の事務所で、満井被告と緒方被告が許副議長らと会いました。会談は午後3時半ごろ終わり、午後4時40分に満井被告は別件で用事のあった河江浩司被告と会い総連の話をしました。河江被告は資金繰りが出来るかもしれないと返答。その日の夜に河江被告から『薬品会社が前向きだ』と電話がありました」
 《弁護人はここまで来ると、一呼吸置き、傍聴席にアピールするかのように、ゆっくり、力強く話を始めた》
 弁護人「問題は総連施設での5年間の維持経費3億円の負担でした。経費の3億円は売り主負担。4月の第3週に、これをどうしようか満井被告は総連に相談しました。許副議長と話し、3億円は総連の負担となった。許副議長は手数料として1億1500万円を『分かった』と了承し、『緒方先生へのお礼として、さらに1000万円。計1億2500万円を払う』と言った。この時、満井被告は金を要求していない。これは正しい取引です。そしてこの際、許副議長は『土屋、緒方に話すのはやめよう』と提案。満井被告は『そうですね。他人は話さないでおきましょう』となりました」
 《弁護人の主張は、その後の満井被告らと総連との実際の金のやり取りに移った》
 弁護人「4月18日は許副議長が満井被告を訪れ、『3億円払います』と金を持参。満井被告は経費として受け取りました。その日の午後、趙常任委員も1億2500万円を持参しました。その後、総連施設の鑑定価格は30億円から35億円に上がり、それに伴って、賃料が3億5000万円になっています」
 「23日夜、都内のホテルで許副議長と満井被告は会いました。許副議長は、賃料負担について『3億5000万円の賃料は総連の負担能力を超える』と話しました。ですから満井被告は、受け取った1億1500万円から、5年で1億円の提供を申し出て実質負担を減らす打開策を提示し、これに許副議長は同意しました」
 《弁護人の主張を、手であごをさすり、天井を見上げるようにして聞く満井被告。顔は若干紅潮したようにも見え、検察側冒頭陳述の時とは別人のように見える》
 「4月24日夕方、緒方事務所で、緒方被告、河江被告、満井被告の3人は(資金調達を依頼していた)弁護士グループの人間と最後の打ち合わせをし、その後寿司屋に。満井被告はその時まで、総連から金をもらったと緒方被告に話してはいません。詐欺の共謀は緒方被告に関しては架空で、検察側の言うことはありえません」
 「5月15日、緒方事務所で(資金調達を依頼していた)弁護士の関係者と会いました。弁護士は『3億5000万円を前払いを』と提示。『金は損害金だから後払いだ』と言ったが、それでも前払いを主張した。そして買い戻し額が約42億円から約38億円に修正されました」

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