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2008年05月14日(水) 18時43分

【法廷ライブ】総連事件初公判(9)弁護側冒陳が明かす「『緒方口座』に韓国から入金」産経新聞

 《弁護人の背後のプロジェクターには、「本件取引の状況など」という見出しが浮かんだ。総連本部についての詐欺罪に問われ、すでに東京地裁で分離公判が進行している河江浩司被告がストーリーに登場してくる》
 緒方被告の弁護人「緒方被告は4月16日ごろ、満井被告を事務所に呼び、取引についての進め方を協議した。満井被告は『以前、銀座の地上げで協力してもらった河江という人物がいます。元銀行員で資金調達のプロです』と説明した。このとき、緒方被告は河江被告の存在を初めて知った」
 「緒方被告、満井被告、河江被告の間で、出資に関する交渉を取りまとめているなどと朝鮮総連側に嘘を言って、投資家がいると信じ込ませようとする謀議が行われたことは終始なかった」
 《弁護人は、詐欺についての共謀をこのように否定し、河江被告らがこのころ、実際に複数の知人らに資金提供を精力的に働きかけていたと説明した。そうした流れの中で、「有力候補」として浮上してきたのが東京都内の弁護士だったという》
 「このような状況で、満井被告が緒方被告に河江被告を紹介することになり、都内の飲食店へ行った。河江被告は緒方被告に『受け皿会社として、昨年10月ごろに私が設立したハーベスト投資顧問株式会社を使いたいと考えています。緒方先生が代表者になって下さい』と持ちかけた」
 《この会合は4月24日の夜に行われたとされるが、検察側の冒頭陳述には登場しない。河江被告は「弁舌爽やか」に、ファンドを主導する都内の弁護士に話を持ち込んでいることを説明したという》
 「飲食店で満井被告が加わるのを待っていた際、河江被告が『満井被告から1億円の支払いを約束されているが、もらえるか不安だ』と言うので、緒方被告は、1億円という報酬は多額に過ぎると思いつつも、河江被告との約束を守るよう口添えした」
 《報酬の約束は1500万円だったとする緒方被告の主張を、さりげなく補強した。緒方被告にはそれほど欲がなかったことを強調する内容だ。緒方被告は熱心に冒頭陳述を読んでいるが、めがねを外して目をハンカチでこするような仕草も。満井被告は目をつぶっている時間が長く、眠たそうにも見える》
 《続いて「緒方被告に1億円が送金される経緯」という文字がプロジェクターに映し出された。「金の流れ」に関する話だが、満井被告と事業上の協力関係があり、韓国で会社を経営する○○(実名)という男性がここで話に登場してくる》
 《緒方被告の口座には、18年3月に約7062万円が振り込まれたのを皮切りに、月内に5500万円、5月に約6678万円が振り込まれていたが、振り込み人はこの韓国男性だったという》
 「当時、緒方被告が○○から金員を受け取る理由は何らなかった」
 《緒方被告はこうして振り込まれた金の一部または大半を、満井被告の求めに応じ、医療機器開発会社「医療電子科学研究所」に送金していた》
 「○○から事業資金として緒方被告の口座に送金された金員のうち、医療電子に対して合計1億1178万8000円が入金されていた」
 「また、満井被告はTSKビル・マンション棟内の会社が所有する2室の買取交渉を行う過程で、空手団体総裁から証拠金1億円を用意するよう要求され、すでに緒方被告に預けていた7000万円に3000万円を加え1億円とした上で、緒方被告に1億円を預けている旨を総裁に告げようと考え、緒方被告に3000万円を手渡したため、緒方被告は口座に預け入れた」
 《こうした経緯を経て、緒方被告は満井被告から1億円を「預かる」ことになったのだ、というのが弁護人の主張だ》
 「緒方被告は、その原資が、満井被告が朝鮮総連から受け取った4億8400万円の一部であることを知らされておらず、その事実を知ったのは捜査が開始された後であった」
 「以上のような経緯で保管していた1億円は、緒方被告が朝鮮総連に返還した1億5000万円の一部に充てられた」

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