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2008年05月14日(水) 17時47分

【法廷ライブ】総連事件初公判(6)登記移転「総連は反対していた」検察明言産経新聞

 《検察側の冒頭陳述読み上げが続く。緒方重威被告は終始目を閉じ、うつむいたまま耳を傾けている。一方の満井忠男被告は、時折蔑(さげす)むような視線を検察官に送り、陳述を聞いていた》

 検察官「緒方被告は、許宗萬総連副議長、趙孝済・総連財務担当常任委員、土屋公献弁護士に対し、自分が朝鮮総連に対して深い理解を示しているかのように伝え、信用させた」

 「満井被告は自己の傘下のファンドに違約金の立て替え払いの必要が生じたと嘘を言い、趙氏などに4億3000万円ほどの金を要求した。趙氏は、満井被告が資金調達をしていると誤信し、満井被告の要求に応じた。緒方、満井両被告は、趙氏から詐取した金のうちの3億があれば、ビルに伴う空手団体総裁に支払うべき2億9000万円相当の求めがあっても応じられる、と判断した」

 「その後、平成19年4月17日ごろ、緒方被告と空手団体総裁は、TSKビルの明け渡しに伴う立会人の署名を行おうとした。空手団体総裁は緒方被告を信じ、2億9000万円で緒方被告に署名を求めた。緒方被告は署名した」

 「緒方被告は4月下旬、満井被告に対し、総連施設の鑑定を35億円に増額させようと持ちかけ、追加に発生する資金の違約金でさらに詐取することを持ちかけた。満井被告はさらに5000万円を総連に求めることにした」

 《検察側は、緒方被告らがさらに総連施設の売買価格を引き上げていくカラクリを指摘し始めた》

 検察官「満井被告は、趙氏と土屋弁護士に対し、売買価格を35億円に増額することを要求。趙氏と土屋弁護士は了承。売買価格が35億円になったことで、違約金が4億2000〜3000万円だったのが4億8500万円になったとして、あと5900万円を要求した。土屋弁護士らは違約金は本件の購入のためと誤信してこれに応じ、2人は5900万円の交付を受けた」

 「分配については、満井被告は(元銀行員の)河江浩司被告(=分離公判中)に、総連施設の購入資金を出す投資家を探すことを依頼、河江被告は了承した。また、違約金がいるといって、趙らから金を詐取したことを伝えた。そのうちの現金3億円を見せた。その上で、満井被告は河江被告に対し、満井傘下の投資家グループとは、本件土地の・建物の購入資金の出資に関する交渉をとりまとめていると嘘を言って、朝鮮総連を信じ込ませて欲しいと依頼。報酬として1億程度払うと示し、河江被告は報酬目当てのこのことを了承した」

 「満井被告と河江被告は法律事務所で土屋弁護士に対し、本件の土地などの購入資金はすでに準備できているが、投資家グループと出資の条件等について交渉中であるなどと嘘を言った。その一方で投資家探しをしていたが、話は進まず、資金調達の目処はたっていなかった。満井、緒方の両被告と河江被告は善後策を協議。河江被告が以前設立したハーベスト社の代表に緒方被告が就任し、購入資金の受け皿とするが、代表者変更の登記手続きに時間を要すると言って、売買契約を引き延ばすことを考えた」

 「両被告は、たとえ投資家が見つからなくても、売買代金を支払うと土屋弁護士を信じ込ませることができれば、支払いに先立って、土地建物の登記をハーベスト社に移せると話し、趙氏と土屋弁護士に対し、そのことを伝え、引き延ばしを行った」
 「他方、両被告と河江被告は、東京都内の別の弁護士に対し、5月18日までに投資家を確保するように言ったが、弁護士は到底無理だと伝えた」

 「土屋弁護士は、投資家の投資が突然ダメになったことに落胆し、緒方被告に『今まで聞いてた話と違う、満井さんはちゃんとファンドの人をまとめると言っていた。満井さんは我々に黙って総連から4億円以上の金を受け取っているんです』と抗議した。緒方被告は『ええ? そうなんですか?』と始めて知ったかのように装った」

 「満井被告は平成19年5月25日ごろ、緒方被告と河江被告に対し、この買い取り話を逃がさないためには、購入資金の確約する投資家を仕立て上げ、売買交渉を引き延ばすしかないと提案。2人もこれを了承した」

 「緒方被告は総連の土地建物の買い取りをして多額の転売利益を得るためには、売買代金の支払いに先立って、土地建物を登記をハーベスト社に移転させ、代表者が緒方被告であることの社会的信用を利用して、購入資金のを募るしかないと考えた」

 「当然、総連側は両被告らの真意は一切知らず、ハーベスト社に登記を移して投資家が集まるかは不確実で、貴重な土地、建物を移転に応じることはなく、投資家が見つからないと、整理回収機構から仮装譲渡であるとの非難も受けかねない、と反対した」
    =(7)に続く

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