記事登録
2008年05月14日(水) 17時07分

【法廷ライブ】総連事件初公判(5)「犯行背景に六本木の幽霊ビル」…満井被告はなぜか不敵な笑み産経新聞

 《検察側は、両被告が東京・六本木で「幽霊ビル」と呼ばれていた「TSKビル」の地上げに苦労していたことをさらに強調する。緒方被告は目を閉じて耳を傾ける》

 検察官「平成16年2月ころ、空手団体総裁は配下を使ってTSKビルの一部を不法占拠して管理組合を結成し、TSKビルのテナントの管理を事実上始めました。平成17年10月下旬ごろ、緒方被告は満井被告とともに、TSKビルの一部を所有する会社社長に会った。緒方被告は経歴を利用して会社社長の信用を得て、売却に関する代理人になりました。しかし、満井被告が売却代金の引き下げ交渉をしたことから、被告2人は会社社長に不信感を持たれ、代理人契約も終了しました」

 《検察官は時折、「ですます調」の読み上げにもなった》

 検察官「その後、会社社長が所有するTSKビルの一部を都内の商社社長が経営する会社に転売する話がまとまり、その中で2人は2億5000万円の利益を得ました。しかし、空手団体総裁が不法占拠を続けていたため、地上げ事業はそれ以上進まないままでした」

 《検察側は、地上げ事業の中で両被告がどうしても資金を必要としていたことを指摘する》

 検察官「19年に入り、両被告は空手団体総裁に金を支払って立ち退かせることにし、明け渡しの交渉を始めました。空手団体総裁とは5億4000万円を支払うことで合意しましたが、そのうち2億9000万円の調達のメドが立たないまま交渉を続けました」

 「空手団体総裁は2億9000万円について契約書を作成・締結するよう求めました。緒方被告は『私が満井に約束を守らせますから。私が保証します』などと言いましたが、資金調達のメドが立たない状況では署名できないと考え、契約書への署名を拒否しました。しかし、署名を拒否し続ければ、せっかく合意したのに、明け渡しに応じなくなる恐れがあったため、両被告は資金調達に迫られていました」

 「また、両被告はTSKビルのマンション棟の2室を買い取って、転売を考え、19年2月ごろ空手団体総裁に交渉を依頼しました。3月下旬になっても交渉はまとまりませんでしたが、空手団体総裁が手付け金を支払って交渉をまとめる可能性もあったため、両被告は1、2億円程度の手付け金を準備する必要に迫られていました」

 《検察側の冒頭陳述は、いよいよ両被告と朝鮮総連の関わりについて触れることになる》

 検察官「総連と整理回収機構(RCC)の和解交渉が19年2月19日に打ち切られ、RCCとの訴訟に全面敗訴して、総連の土地・建物が強制競売にかけられる可能性が現実化したことから、許宗萬・総連副議長らはかつて、総連の土地を高値で買い取ってくれた満井被告に土地・建物の買い取りを依頼することにしました。趙孝済・総連常任委員は3月上旬ごろ、東京都千代田区のホテルで、総連としては土地・建物を30億円で売却して、競売を適法に回避した後、売買後も使用損害金として年3億円を買い主に支払い、5年後には5億円のプレミアムを加えた35億円で買い戻そうと考えていると説明、買い取りを持ち掛けました」

 《検察側は満井被告が総連側の話を利用し、巨額の利益をあげようと目論んだことを指摘する。満井被告は検察側が指摘する構図をあざ笑うかのごとく、表情を緩める》

 検察官「これに対して満井被告は、総連がRCCに巨額の債務を負っているため買い戻しができずに総連が退去する可能性が大きいため、60億円程度で転売し多額の利益を得ることができると考えました。そこで満井被告は『中国や韓国で運用しているお金が数百億円ある』などと嘘を言って信じ込ませようとしました」

 検察官「満井被告はこの儲け話を逃さないため、売買交渉を引き延ばそうとしました。その一方で、実際に購入代金を出資する投資家を募り、それが難航した場合は土地・建物の登記を総連とは無関係の受け皿会社に移転させ、受け皿会社が所有している資産への投資案件として扱えば、投資を募りやすくなると考えました。さらに満井被告は元検事長として対外的な信頼の高い緒方被告が受け皿会社の代理人に就けば総連側の信用を得て、投資も集めやすいと考え、緒方被告に依頼しました」

 「満井被告は19年4月上旬ごろ、購入に関し、違約金名目で総連から金銭を詐取できると緒方被告に提案しました。その詐取した金の中から緒方被告に1億円のギャランティーを分配することを約束しました」

 「満井被告は4月中旬ごろ、総連の趙常任委員と会い4億3000万円の現金が必要だと要求しました。両被告は信用を得るため、在日朝鮮人に共感しているよう装うことを打ち合わせました。同月13日ころには総連の許副議長や趙常任委員と会い、在日朝鮮人の立場に共感して売買に協力すると述べ、総連側の信用を得ました」

 《検察側の冒頭陳述は続く。緒方被告は目を閉じたまま。満井被告は笑みを浮かべている》
    =(6)に続く

【関連記事】
【法廷ライブ】総連事件初公判(4)荒れる法廷、異議の連続「億単位の報酬要求した緒方被告」
【法廷ライブ】総連事件初公判(3)朗々と手紙読み上げ…「まったくそういう事実はない」満井被告
【法廷ライブ】総連事件初公判(2)罪状認否で独演「元総理の指示で国策捜査」満井被告
【法廷ライブ】総連事件初公判(1)「職業は?」「弁護士です!」古巣・検察との対決にも緒方被告落ち着いて…

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080514-00000941-san-soci