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2008年05月14日(水) 16時21分

【法廷ライブ】総連事件初公判(3)朗々と読み上げ…「まったくそういう事実はない」満井被告産経新聞

 《満井忠男被告は眼鏡をかけ、下を向いたまま、ときおり言葉に詰まりながらも、力を込めて安部晋三前首相にあてたという手紙を読み続ける》

 満井被告「6カ国協議が進められる中、国会議員団は早期に拉致被害者を救出するべく力添えをするべきなのです。なのにこの権力の政治感覚は何なのでしょうか。緒方(重威被告)の自宅、事務所を強制捜査し、さらに私に対する強制捜査が行われました。検察庁の(東京地検)特捜部組織を動員して、緒方と私を悪人に仕立て上げました。私は自宅に帰られず、逃亡の日々を強いられました。人権を無視した、天を恐れぬ行いです。私の人権を蹂躙し、おもちゃのように扱ったのです」

 「今日の、人権問題に厳しい世界の趨勢(すうせい)に反していることを、時の権力者は重く感じるべきなのに、国費を私物化する行為を国民が許すはずがありません。私は国を愛しています。健全な国家運営のために命をかけることにしました。己の悔しさをかみしめ、命を尽くして戦うつもりです。この法廷は国民の太陽です」

 《ここで、満井被告はさらに言葉に力を込める》

 満井被告「最後に特捜部への認識を示します。特捜部は、時の権力者の意思で盲動することがあってはなりません。国民国家のために熟慮のうえに行動すべきなのです」

 《ここで、裁判長が言葉をはさみ、満井被告の手紙朗読は中断する》

 裁判長「予定の時間ですが、あと少しですか」
 満井被告「はい、すみません」
 《満井被告は、こう言って、さらに手紙を読み始めた》

 満井被告「国民のため、民主国家が崩壊するのを防ぐため、行動すべきなのです。最後に裁判官に申し上げます。このたびは私の熟慮が足りないために、このようなことになり、裁判長、裁判官、北朝鮮のみなさん、朝鮮総連、私のことを心配してくださる方々にご迷惑をかけましたこと、おわびを申し上げます−。これが私の手紙の後書きです」

 裁判長「公訴事実については…」
 満井被告「はい。まったくそういうような事実はございません」

 《満井被告は、証言台から被告人席に戻った。眼鏡を外して、上を向く。隣では、顔を紅潮させた緒方被告が、検察側や裁判長の席を見つめている》

 裁判長「では弁護人の意見を」
 緒方被告の弁護人「まず、総連本部の売買契約についてですが、本件取引は所有権の移転に関わるものではなく、被告にそもそも詐欺の犯意も共謀もなく、犯罪は成立しない。無罪を主張します。また(約4億8400万円詐取の詐欺罪での)追起訴についても、緒方被告は平成19年6月11日に初めて知っており、(満井被告から)預かっていた1億円についても、総連とどういうやりとりがあったか知らなかったので、無罪を主張します」

 満井被告の弁護人「まず登記移転が行われたのはこの(起訴状)の通りですが、所有権移転が伴うものではなく、犯罪が成立しない。追起訴事実については、緒方被告は総連から金を受け取った事実は知らない。満井(被告)についても、総連に対してしかるべき説明をして受け取ったもので、詐欺罪は成立しない。詳細は追って、説明いたします」

 《両被告の弁護人は、ともに無罪を主張した》
 《次いで、検察の冒頭陳述読み上げが始まった。検察官は早口で読み上げてゆく》
 検察官「検察官が証明しようとする事実は次の通り。まず被告の身上について。緒方被告は昭和35年4月に検事に任官し…。満井被告は昭和35年ごろから不動産取引に携わり…》

 《詐欺事件は来年から始まる裁判員裁判の対象事件ではないため、検察側冒頭陳述は従来通り「である」調で、かなり聞き取りにくい。その冒頭陳述の読み上げを、緒方、満井両被告は表情をほとんど変えずに、じっと聞き入っている》
    =(4)へ続く

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