記事登録
2008年05月14日(水) 15時58分

【法廷ライブ】総連事件初公判(2)罪状認否で独演「元総理の指示で国策捜査」満井被告産経新聞

 《罪状認否を求められた緒方被告は、用意していた紙を手に取った》

 緒方被告「朝鮮総連の土地・建物に関与した経緯を説明します。整理回収機構(RCC)からの競売を、合法的に回避するために加わりました」

 「動機は以下の通りです。1番。総連会館は関係者においては活動拠点で、大使館機能もあります。それを失えば、在日の方々は棄民の状態に置かれる。私は旧満州から命からがら帰国し、祖国との絆の大切さを身をもって感じました。いかなる理由があろうと、絆を阻害してはいけないと」

 《自らの原体験を披露し、行動の合理性を説明した緒方被告。声は大きく、主張は明確だ。さらに読み上げは続く》

 「2。わが国と北朝鮮の国交は回復していないが、国交の回復はいずれありうることです。権益を擁護する動きがあることを北朝鮮が認識することは有用と考えました」

 「3。公安調査庁長官の地位にもあった経験から、朝鮮総連を見守る上では、拠点が固定されていた方が国益にかないます」

 「4。弁護士10年の節目で、社会に役立つことをしたいと考えていましたところ、この案件がもたらされました。意味のある仕事であり、絶好の機会と考えました」

 《こう4点を挙げた後、緒方被告は「しかし」と述べた》

 「結果的に遺憾な結果となりました。だまし取ったり、現金を詐取できる案件ではなく、刑事事件として取り上げること自体が間違いです。捜査には強い疑問を感じます」

 《緒方被告はさらに「資金調達が可能だったと信じて疑っていなかった。だましたという詐欺の犯意、共謀については否認します」「4億8400万円の授受についても、昨年6月11日ごろ、事務所に総連の男性から教えてもらうまで知らなかった」と補足した。2件の起訴内容を完全に否定したことになる》

 「審理を通じ、遠からず無実が証明されると確信しています」

 《緒方被告の罪状認否は終了。続けて満井被告も用意してきた紙を読み上げようとするが、廷吏から渡された紙の厚さに裁判長はやや驚いた様子だ》

 裁判長「これは相当(長い)ですね…。今日は概略的に言いたいことを言う手続きなので、5分でどうですか」

 満井被告「エー、5分じゃ無理です!」

 《大声が法廷に響いた。終始落ち着いた様子の緒方被告とは対照的だ》

 裁判長「それでは(2時)35分までに終わってもらえますか。あと12分ほどありますので…」
 《やや不満そうだが、満井被告はめがねをかけ、紙を読み上げ始める》

 満井被告「まず、私は生まれたときから国を愛し、男として、正義を持って育てられました。今日まで変わることのない原点です。今回の事件の構図は、安倍(晋三)元総理対緒方元長官と私。元総理の指示で検察がやった国策捜査です」

 《一連の事件を「国策捜査」と位置づけた満井被告。少し興奮気味の口調で、検察への批判をさらに続ける》
 「事件は被害者なき詐欺罪と位置づけられました。逮捕は現行犯のごときスピードで実行、勾留(こうりゅう)されました。40日間の取り調べは、事件にするための虚偽の組み立てによる事実に反する調書です。『これにサインしろ』と脅迫、強要され、物心ついてから初めて拷問を受ける体験をしました。毒を飲むか、恥を飲み込むかの闘いでした」

 《続いて満井被告は、昨年9月に安倍晋三前首相あてに自分が書いた手紙の「あとがきを読みます」と宣言。なかなか罪状認否の本題に入らない》

 「朝鮮総連の敷地が『更地になったら見に行く』と言ったことが事実なら、指導者の要諦を得ていない。両国の関係を考えれば、権力の恐ろしさを感じた」

 「誰もいさめる国会議員はいないのか。拉致問題などの外交政策は正しかったのか。私は違うと思います」

 《読み上げが始まり7分ほど経ったが、満井被告の「独演会」の様相になってきた。手前の検察官は、時折、法廷後方の時計をチラチラ見ている》
    =(3)に続く

【関連記事】
【法廷ライブ】総連事件初公判(1)「職業は?」「弁護士です!」古巣・検察との対決にも緒方被告落ち着いて…
【総連事件】「詐欺にあたらず無罪」緒方、満井両被告が全面否認
総連だます意思争点 詐欺事件 緒方元長官らあす初公判
朝鮮総連、制裁の即時解除を首相あて要請 社民参院議員が同行
元公安調査庁長官・緒方被告を保釈 朝鮮総連詐欺事件

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080514-00000938-san-soci