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2008年05月14日(水) 21時00分

無罪主張の緒方・元長官、胸に弁護士バッジ朝日新聞

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の土地や建物の売買をめぐって、総連側から4億8400万円などをだまし取ったとして、詐欺罪に問われた元公安調査庁長官で弁護士の緒方重威(しげたけ)被告(73)と不動産会社元社長の満井忠男被告(74)の初公判が14日、東京地裁(林正彦裁判長)であった。緒方元長官は「私の無実が証明されると信じている」と起訴事実を否認し、古巣の検察側と対決する姿勢を明らかにした。満井元社長も無罪を主張した。

東京地裁に入る緒方重威被告=14日午後、東京・霞が関、筋野健太撮影

 弁護士バッジを左胸につけた緒方元長官は、罪状認否で「なぜ、検察が朝鮮総連などから被害届もないまま、問答無用で立件を急いだのか。強い疑問を禁じえない」と話した。

 これに対し、検察側は冒頭陳述で、元長官と元社長は約10年前から関係を深め、不動産の売買で多額の利益を得ていたと指摘。そのうえで、東京・六本木のビルの明け渡しのために巨額の資金が必要となったため、総連側に架空の購入話を持ちかけて不動産の所有権を移転させた——などと事件の動機について触れた。

 一方、元長官の弁護人は、元長官には弁護士として十分な収入があったうえ、検察側がだまし取ったと認定した現金は元社長からの「預かり金」だったなどと反論。元長官が捜査段階でいったん容疑を認めたことについては「取調官から大声で罵声(ばせい)を浴びせられるなど、不当な取り調べを受けたからだ」と主張した。

 この事件では、捜査段階で詐欺容疑を認めて検察側の立証の柱となっていた元信託銀行員の河江浩司被告(43)が無罪主張に転じている。

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