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2008年05月13日(火) 21時33分

死者1万2000人、生き埋め2万3000人 大地震朝日新聞

 【北京=峯村健司、琴寄辰男】中国民政省の王振耀救援局長は13日記者会見を開き、12日発生した四川大地震の死者が1万1921人に上ったことを明らかにした。倒壊した家屋は50万戸に達し、新華社通信によると、震源地に近い四川省綿陽では1万8645人、綿竹では4800人以上が生き埋めとなっている。各地で道路が寸断され、大雨や余震のため救助活動は進んでいない。

 24万人が犠牲になった1976年の河北省・唐山地震以来、中国では最悪の地震災害となった。地元報道などによると、四川省で1万1608人▽甘粛省で213人▽陝西省で92人▽重慶市で11人▽雲南省で1人の死亡が確認された。新華社通信によると、少なくとも九つの小中学校や高校が倒壊、1900人の生徒が生き埋めになっている。震源地付近ではマグニチュード(M)5以上の余震が16回起きている。

 中国政府は被災地支援のため8億6千万元(約129億円)の緊急支出を決め、数万人の軍や武装警察部隊を投入。温家宝(ウェン・チアパオ)首相は四川省の都江堰に救援指揮本部を置いて支援活動にあたっているが、震源地の四川省アバ・チベット族チャン族自治州ブンセン県と結ぶ幹線道路は切断されている。軍の部隊1300人が徒歩で現地に入ったほか、落下傘部隊の投入を試みたが、雨のため中止となった。

 王局長は「交通が不便で被害者数が甚大なため、救助は困難な状況にある」と述べた。日本をはじめ各国政府が申し出ている支援についても「交通状況が悪いため救援部隊は被災地に入れない」とし、支援金と支援物資だけを受け入れる方針を明らかにした。

 四川、陝西両省では多くの幹線道路が寸断された。鉄道は計15カ所で線路が崩落するなどで不通となっている。成都と陝西省宝鶏を結ぶ宝成線では、甘粛省隴南市でガソリンを積んだ貨物列車が脱線、出火したほか、旅客列車31本、貨物列車149本が足止めされた。閉鎖されていた成都空港は13日に再開したが、発着・到着合わせて277便に欠航などの影響が出た。

 また、四川省では発電所5カ所で送電ができなくなり、変電所6カ所が運転を停止。陝西省でも変電所2カ所が運転を止めた。重慶市で9万3600戸が停電したほか、四川省都江堰市で全市で停電した。四川省で通信会社「中国移動」の基地局約2300カ所が停止した影響などで、携帯電話がつながりにくくなっている。

 震源地付近はパンダの生息地域でもある。新華社は成都、雅安両市のパンダ繁殖研究基地にいる計68頭は無事だと伝えたが、ブンセン県の臥竜パンダ自然保護区にある研究センターのパンダの安否はわかっていない。また、臥竜を訪れていた英国人ツアー客約15人と連絡がとれないという。

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