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2008年05月10日(土) 10時25分

宇宙基地、物資不足の恐れスポーツ報知

 日本も参加して建設中の国際宇宙ステーションが予定通り2010年に完成しても、水や食料など必要な補給物資の半分しか地上から輸送できない恐れがあることが、9日までの米政府監査院(GAO)の調査で分かった。

 新型ロケットの運用は早くても15年とされ、スペースシャトルが引退する10年以降に「空白期」が生じるのが原因。ロシアや欧州、日本の無人補給機を利用しても輸送能力は足りず、GAOは「目標とする6人の常時滞在や、科学研究の質に支障が出るだろう」と指摘している。

 米航空宇宙局(NASA)は埋め合わせのために民間ベンチャー企業のロケット開発を奨励し、10年の運用開始を当て込むが、これまでに軌道に達したロケットはない。GAOは「見通しは楽観的すぎる」と批判している。

 ステーションには現在3人の飛行士が滞在。09年には6人に増やし、ロシアのソユーズ宇宙船で随時交代しながら、日本の施設を含む実験棟を運用する予定。3人ではステーションを維持するのがやっとで、実験までは手が回らないとされている。

 NASAによると、完成後は毎年20—25トンの水や食料、燃料、予備の部品、実験材料などの物資輸送が必要。4月に試験飛行が成功した欧州宇宙機関の無人補給機「ATV」と、日本が開発中の無人補給機「HTV」で5—10トンは賄えるが、ステーションの当面の運用期限の16年までに合計51・8トンの輸送力不足が生じるという。

 NASAは「民間ロケット調達には自信がある。シャトルで運べるものは前倒しで輸送し、貯蔵することも検討している」と反論している。(共同)

 ◆国際宇宙ステーション 日本と米国、欧州、ロシア、カナダが参加し、高度約400キロの軌道で1998年に建設を始めた宇宙有人施設。サッカー場ほどの構造物で総重量は約420トン。2010年の完成時には6人が常時滞在し、無重力を利用した実験や医学研究を予定している。3月には日本の実験棟「きぼう」の組み立てが始まるなど、現在、全体の7割まで建設が進んでいる。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080510-OHT1T00115.htm