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2008年05月09日(金) 12時00分

家庭ゴミや家畜の糞からジェット燃料を製造する新施設WIRED VISION

ココナッツ油や藻類(日本語版記事)からジェット燃料を製造する試みが続けられているが、ゴミから作ってもいいはずだ。

それが、ワシントンDCに本拠を置くSolena Group社の構想だ。同社は、北米、アジア、欧州で再生可能エネルギーの発電所を建設し、操業している。

Solena社が取り組みを開始したある施設では、プラズマガス化という処理方法を通じて、ゴミや樹皮、さらに家畜の糞などからジェット燃料を製造することを目指している。

この施設は、摂氏5000度に達するプラズマアークを使って、ゴミを分解し気体燃料にする。この気体はその後、飛行機の燃料に適した液体へと変換される。

プラズマガス化と気体から燃料へと変換する処理において、大量のCO2が環境へ排出されるが、埋め立てゴミが分解される際に発生するCO2の量や、このまま石油ベースの航空機燃料に依存し続けることと比較すると、ほとんど問題にならないと、Solena社は説明している(米運輸省によると、航空機から排出される温室効果ガスは、米国の年間排出量の2.7%に相当するという)。

また、プラズマアークから生成されるエネルギーが、設備の動力としても利用されるので、自律的なシステムになると見込まれている。

Solena社は、この燃料製造施設をカリフォルニア州ギルロイに建設する計画だ。この施設は、カリフォルニア州の大手ゴミ収集企業Norcal Waste Systems社から、家庭ゴミの安定した供給を受ける。

Solena社の新施設が成功するかどうかは、現時点ではまったくわからない。同社が燃料の製造を開始するのは2011年以降になるが、2008年には米国のバイオ燃料に対するいくつかの税額控除が廃止される予定だ。

また、この取り組みに対する関心を公に発表した民間の航空会社は今のところない。さらに、ゴミ燃料化プロジェクトが実現する前に、ジェット燃料の価格が再び下落する可能性もある(非常に低い可能性だが、先のことは誰にも分からない)。

しかし、『The Register』によると、Solena社には大きな味方が付いているという。燃料源の多様化を切望する米海軍が、同社と提携することに関心を示しているというのだ。最初の顧客としては悪くない相手だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080509-00000001-wvn-sci