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2008年05月09日(金) 15時00分

多重債務の相談、過去最多8万7千件に 07年度朝日新聞

 複数の消費者金融などから借金をした多重債務で、全国の消費生活センターに寄せられた相談が07年度、過去最多の約8万7千件に達する見込みだ。国民生活センターによる推計で、06年度より約7千件多い。過払い金の返還請求と、自己破産など債務整理の方法に関する相談が目立つ。

 国民生活センターによると相談は3年連続で増え、04年度の約1.5倍。相談者は働き盛りの世代が大半で、給与生活者が6割以上を占める。「夫が消費者金融数社から長年融資を受けており、過払い金があるようだ。取り戻すにはどうしたらよいか」「5、6社に総額300万円の借金がある。失業して支払えないので自己破産したい」といった相談が多い。無許可のまま違法金利で貸す「ヤミ金融」の被害も減らないという。

 利息制限法の上限金利(借入額に応じ年15〜20%)を超える「グレーゾーン金利」分が過払い金で、さかのぼって返還を求めることができる。返済を5、6年以上続けていれば過払い金が含まれている可能性があるとされる。全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会(電話03・5207・5507、平日午後1〜6時)は、約500万人が過払い金を請求できると見積もるが、返済し続けている人が少なくないという。

 一方、貸金業法改正で消費者金融の融資審査が厳しくなり、借り換えできず返済に行き詰まった借り手の相談も増えた。政府が全市区町村に相談窓口の設置を求め、消費生活センターによっては専用窓口を置いたことも相談増に結びついたと見られる。

 多重債務者救済に取り組む宇都宮健児弁護士は「相談件数は実際に悩んでいる人の数と比べるとまだまだ少ない。この問題は貧困や格差社会と結びついている。生活資金を支援するセーフティーネット(安全網)の拡充を急ぐべきだ」という。(上田学) アサヒ・コムトップへ

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