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2008年05月08日(木) 10時24分

緊急地震速報、また間に合わず…2回目も“後出し”発表サンスポ

 8日未明に最大震度5弱を観測した茨城県沖の地震で、気象庁は一般向けの緊急地震速報を発表したが、大きな揺れに間に合わず、震度5弱の水戸市などでは約40秒遅れとなった。一般向けの緊急地震速報は今回で2回目だが、いずれも“後出し”の発表となり、技術的な限界を改めて露呈した格好だ。

 緊急地震速報は地震の初期微動を検知して、その後に到来する大きな揺れを事前に知らせる警報システム。減災の切り札として、気象庁が昨年10月から一般向けの発表を始めた。

 しかし今回の速報は、いずれも震度5弱だった水戸市では大きな揺れの40秒後、栃木県茂木町では38秒後。震源地から100キロ以上離れた東京都心でも約30秒後となり、防災情報としては役に立たなかった。

 気象庁は4月28日に起きた沖縄県宮古島近海の地震で、一般向けの緊急地震速報を初めて出したが、発表は大きな揺れの約5秒後だった。今回は地震の規模を示すマグニチュード(M)の予測に時間がかかり、さらに大幅に遅れた。

 記者会見した気象庁の横田崇地震津波監視課長は「これが技術的な限界。マグニチュードの推定方式に改善の余地があるかどうか検討し、より早い段階で速報を出せるようにしたい」と述べた。

 一般向けの緊急地震速報は最大震度が5弱と予測された場合、テレビなどを通じて発表されるが、予測は震度1前後の誤差が避けられない。今回の地震で気象庁は当初、震度4程度と予測したため速報が遅れた。最終的に5弱程度と予測するまでには、初期微動の検知から約58秒を要した。

■緊急地震速報

地震の初期微動(P波)が、大きな揺れ(主要動、S波)より地中を伝わる速度が速いことを利用し、P波を地震計でとらえて自動計算、想定震度5弱以上の場合、震度4以上となる地域を対象に予想震度を発表する。昨年10月に放送などを通じた一般への提供を開始。同12月、大雨や洪水警報などと同様、NHKに放送義務がある気象業務法上の「警報」扱いとなった。技術的限界もあり、同庁は阪神大震災のような震源が内陸で深さが10キロ程度と浅い地震で、震源から25キロ以内は速報が間に合わない可能性が高いとしていた。


http://www.sanspo.com/sokuho/080508/sokuho001.html