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2008年05月06日(火) 19時21分

ネットの中国語インスタントメッセンジャー、犯罪の温床に?産経新聞

 日本国内で摘発された中国人犯罪グループが、仲間を募る「窓口」として、ネット上の中国語インスタントメッセンジャー(IM)を悪用していたケースが確認された。利用されたのは、中国の若者の間で一大ブームとなっているソフト「QQ」。中国人が犯罪仲間を募るには、同じ学校の留学生やネットカフェで知り合うといった“人づて”が主流だが、中国語IMが新たな犯罪の温床になっている疑いがあり、警察当局は警戒を強めている。

写真とともに振り返る「長野聖火リレーの異常」

 ■「運転役募集」

 QQは登録すれば誰でも無料で利用が可能。相手のQQ番号を入力するとメッセージを送ることができ、リアルタイムで会話(チャット)が楽しめる。中国では、家庭やネットカフェのパソコンには必ずといっていいほどQQがインストールされており、いわばIMの代名詞的な存在だ。

 画面上には「株」「恋愛」「友人探し」などのテーマや、「日本」「米国」「北京」「上海」といった国や地域が分類されており、自分の趣味や趣向にあったテーマにアクセスしている人と、世界中から自由にチャットができる。

 そこに目をつける犯罪グループが増えているという。実際、犯罪グループが中国人を勧誘する手段として悪用したケースが確認された。

 首都圏などで計300件以上、被害総額1億円以上の空き巣や車上狙いを繰り返していたとして、警察当局に昨年摘発された中国人留学生を中心とする窃盗グループは仲間の大半がQQを通じて知り合っていた。

 「車の運転役を募集」「何でも買い取る」…。

 犯罪グループはQQの画面上でこう呼びかけ、チャットで犯行現場への運転役の募集や盗品処分ルートの斡旋(あっせん)を行っていたという。

 捜査関係者はQQについて「犯罪グループ募集の新たな温床になっている可能性がある」と危惧(きぐ)する。

 ■実態把握は困難

 ただ、QQなどIMを利用した犯罪のグループの構築について、警察当局が警戒を強めても、実態はなかなか把握できないのが現状という。チャットなどの場合、ネット上の会員しかアクセスできないため、警察が常時把握するのが難しいためだ。

 利用の仕方によっては、日本でも問題となったネット掲示板サイト「闇の職業安定所」などと同様に、名前も身分も知らない者同士が犯罪グループを形成する危険性がある。

 警察幹部は「中国人はただでさえ“身内”を警察に売ることはしないのに、名前も住所も知らない中国人が犯行グループを形成した場合、仲間を割り出していく捜査はさらに困難になるだろう」と危機感をつのらせる。

 QQをめぐっては、これまでにもトラブルが報告されている。

 QQ番号を適当に入力すれば相手に届くため、中国国内では「五輪チケットが当選した」などと無差別にメッセージが送られ、現金を振り込ませようとする詐欺的行為が行われた事例があった。毒ギョーザ事件の際には、「日本人の犯行だ」との書き込みが相次ぎ、反日感情をあおるツールとしても利用されたという。

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