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2008年05月06日(火) 19時14分

硫化水素ガス自殺報道を考えるツカサネット新聞

年間の自殺者数と交通事故死者数、何人くらいかご存知だろうか。

交通事故死者数は、昭和40年代半ばに16,000人台を記録したが、現在では約6,000人に減少してきている。これに対し、自殺者数は年間約32,000人と、交通事故死者数の5倍に達しており、1日あたり約90人が自殺で亡くなっていることになる。自殺者の内訳をみると、60歳以上が11,000人と高齢者が最も多く、自殺理由では健康問題が第一要因に挙げられている。

先月以来、硫化水素ガスによる自殺報道を目にしない日はない。その前は練炭自殺が相次いだこともある。年間3万人以上の自殺者がいるということは、その裏に思い悩んでいる人が数多くいるということである。これらの人は、ぎりぎりのところで思いとどまったり、あるいは何かの弾みで命を絶ったりしているのであろう。

このような状況で、簡単に自殺ができるようなインターネット上の書き込みをすることは許されることではないし、仮にそのような自殺が起きたとしても、それを連日報道することが、逆に思い悩んでいる人の背中を押してしまうことになるのではなかろうか。

硫化水素ガス自殺の報道に接し感じることは、自殺は連鎖的に起きるということだ。その連鎖を断つためには、マスコミ各社は自殺報道の自主規制を設けるべきではないか。自殺をテーマとして取り上げるにしても、「こういう理由で自殺した」「こういう方法で自殺した」的な報道ではなく、「自殺を考えていた人が、こういう理由で思いとどまった」という報道をすべきだと思う。

性質は異なるが、最近頻発している、チューリップやボタンなどの花類の切断事件も同じことが言えるだろう。このような報道を毎日目にすれば、自分も真似てみようと考える人が出てくるのも当然であろう。

事件であればなんでも報道するのがマスコミの使命ではあるまい。社会にどのような影響を与えることになるのかを事前に検討したうえで報道する姿勢が必要ではないのか。

マスミニは、世の中を元気にする、明るくする報道を目指してもらいたい。


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(記者:西郷どん)

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