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2008年05月05日(月) 03時01分

PCI、ODAでリベートか 元首脳が証言朝日新聞

 東京地検特捜部に旧経営陣らが特別背任容疑で逮捕された海外の建設コンサルタント大手「パシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)」(東京都多摩市)が03年以降、香港の現地法人などに年間1億円以上を送金していたことがわかった。同社の元首脳は「一部は東南アジアの公務員に渡すリベートとして使われた」と証言した。

 元首脳は「(リベートは)政府の途上国援助(ODA)事業受注のため」としたが、現経営陣側は送金について「違法性のない情報収集費」とし、リベートについては全面否定している。ODA担当の外務省が事実関係の調査を始めた。

 複数のPCI関係者によると、PCIは03年、元役員が経営する香港法人に対し、営業調査費として年間約1億円の送金を開始。送金額はその後増額され、フィリピンやタイなど数カ国の法人にも送金された。これらの資金は、各法人から現地のエージェント(代理人)に渡されていたという。

 PCI元首脳は朝日新聞社の取材に対し、資金の一部が現地の公務員へのリベートに使われたとし、「東南アジアでODA事業の発注者側の公務員がリベートを要求してくることは珍しくない。断ると仕事がもらえなくなる。契約額の数%相当を支払うのが一般的だった」と話した。

 PCIが02年4月から昨年11月までに受注したODA事業は約400件(共同企業体の契約を含む)、計約650億円に上る。タイの新空港やインドの地下鉄の建設事業など大規模案件も手がけており、日本企業の受注実績ではトップクラスだ。

 PCIや大手商社関係者によると、PCIなど日本の建設コンサルタント会社は90年代まで、ODA事業の受注を目指す際、海外の情勢に詳しい大手商社とタッグを組むことが多かった。日本企業側は現地で情報収集したうえ、相手国政府に対し、交通網の整備や学校や病院の建設を日本のODA事業で実施することを提案していたという。

 提案を受け入れた相手国政府は、日本政府に資金協力を要請。外務省などの審査を経て認められると、相手国政府はODA事業として入札を実施し、設計、工事などの業者を選定した。提案から受注までは5〜10年かかるという。この事情を知る関係者は「ODAは業者の思惑が先行しがちだ」と指摘する。

 PCIの現経営陣側は、香港法人への送金は認めるが、「東南アジア各国の入札情報を収集するための費用。裏金でもなく、違法性はない」とリベートについて全面否定した。PCI関係者らによると、00年前後から、大手商社が採算性の低さなどを理由にODAビジネスを縮小する傾向にあり、建設コンサルタント側が独自に情報収集する必要に迫られたとしている。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0505/TKY200805040180.html