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2008年05月05日(月) 09時39分

下着ドロJリーガー、現場で「体液放出」 サッカー界追放か産経新聞

 世界の舞台で活躍が期待されたJリーガーは、誰もが子孫に残して欲しいと願う才能あふれるDNAを現場に残し、自らの選手生命を危機に追いやった−。神戸市で平成13年、女子大生=当時(21)=のマンションに侵入し、下着などを盗んだとして4月25日、兵庫県警に窃盗容疑などで逮捕されたJリーグ「柏レイソル」の選手A(26)。憔悴しきった様子で「日本サッカー界に迷惑をかけた」と反省の弁を述べる一方、今も「古いことなのでよく覚えていない」と繰り返しているという。
 4月25日午前9時半。青空が広がった千葉県柏市のグラウンドでは、いつものように柏の選手たちが、翌日の試合に向けて調整していた。その中には、先発出場が予定されていたAの姿もあった。約1時間の練習を終え、クラブハウスで着替えていたAは、チーム幹部に声をかけられて事務所へ向かった。そこに待っていたのは逮捕状を携えた兵庫県警の捜査員だった。
 女子大生の部屋に忍び込み、下着や携帯電話を盗んだというのだ。
 「まったく知らない」
 Aは混乱した様子で、とっさにこう弁解した。5年前の犯行を、すぐに思い出せなくても、無理はないのかもしれない。しかしAはその場で逮捕された。当然、翌日の試合にその姿はなかった。
 A逮捕の大きな決め手となったのは、DNA鑑定だった。過去の犯罪者のDNAを蓄積する警察庁のデータベースに、AのDNA型が登録されたのは2年前の事件がきっかけだった。18年1月、柏から川崎フロンターレにレンタル移籍中だったAは、川崎市内の女性会社員宅に侵入したとして、同年3月に住居侵入容疑で逮捕された。Aはこの事件では「泥酔していてよく覚えていない」などと供述している。そして最終的に「常習性がない」などとして、起訴猶予処分となった。
 一方、今年に入って古い未解決事件を洗い直していた兵庫県警は、神戸事件の現場に飛び散っていた体液のDNA型を、警察庁に照会していた。それが川崎事件で採取・登録されていたAのDNA型と、ピタリと一致したのだ。裏付け捜査を進めたところ、Aが事件当時、Jリーグ「ヴィッセル神戸」に所属し、現場マンションの近くに住んでいたことも判明した。捜査の目に「常習性」は明らかだった。
 Aは12年に群馬県の強豪高校から神戸に入団。その後、複数のJリーグチームを渡り歩いた。年代別の日本代表経験もあり、将来を嘱望されていた。2年前の川崎の事件ではチームを解雇された。当時はそのまま選手生命が絶たれるのではないか、とさえささやかれていた。しかしボランティア活動を行ったことなどが認められ、Jリーグに復帰することができた。再び与えられたチャンス。今年4月には初めて日本代表候補にも選ばれ、代表の岡田武史監督からも「独特のセンスを持っていて、非常におもしろい選手」と高い評価を受け、スター選手の仲間入りを果たした。逮捕の2日前までは、代表合宿にも参加していたのだった。
 一度は若くして世界の舞台に立ったAは、逮捕、解雇というどん底から、再び世界へはい上がった。それは自らの努力と才能でつかんだ大舞台だった。サッカー選手として、まさにこれからというときの2度目の逮捕が、関係者に与えた衝撃の大きさは計り知れず、柏レイソルでは厳しい処分を検討しているという。神戸事件は未成年時の犯行のため、一部の報道を除くと実名も公表されてはいないが、「今度こそサッカー界から追放される」との見方も強い。

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