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2008年05月04日(日) 03時04分

不審者情報も、夜は近所の人も怖がる…愛知の高1殺害現場読売新聞

現場に残された清水愛美さんの自転車

 医師を志して高校に入学したばかりの女子生徒が、変わり果てた姿で見つかった。

 愛知県豊田市の高校1年、清水愛美(まなみ)さん(15)が殺害された事件。遺体発見現場の水田は、夜は人通りがほとんど途絶え、不審者の情報が愛知県警などに相次いで寄せられていた。愛美さんの友人や学校関係者らは突然の悲報に言葉を失い、涙をぬぐった。

 同市生駒町の遺体発見現場付近は、伊勢湾岸自動車道の高架橋が通り、田畑が広がっている。民家は少なく街灯もない。

 今年3月まで愛美さんが通っていた同市立前林中学校などによると、先月28日午後7時半ごろ、遺体が見つかった水田から約2キロ離れた農道で、黒っぽいバイクに乗った男が、自転車に乗った高校2年の女子生徒に声をかけてつきまとい、手首をつかむなどして押し倒したという。女子生徒が抵抗したため、男はバイクで逃走した。

 また、翌29日にも、この近くの書店にいた女子児童が、黒いジャージー姿の若い男に手をつかまれ、店内のトイレに連れ込まれたが、逃げて無事だった。近くの高校3年の女子生徒は「(付近は)夜は近所の人も怖がって通らないところ」と話していた。

 今年4月から愛美さんが通っていた同県刈谷市の愛知教育大付属高校周辺でも不審者の出没情報があったという。

 愛美さんは両親と兄3人の6人家族。友人たちからは「まなちゃん」と呼ばれ、明るくしっかりした性格で級長を務めるなど、周囲の信頼も厚かった。

 同級生らによると、愛美さんは中学時代、卓球部の副キャプテン、生徒会では副会長や級長を務めた。卒業文集では、「いろんな人に助けられ、たくさん支えられてきて、2年半、卓球を楽しく続けられたと思います。これからも感謝の気持ちを忘れることなく生きていきたいです」と振り返っている。

 高校でも、さっそく級長に選ばれる一方、サッカー部のマネジャーになり、周囲には「人の役に立ちたい」「医者になりたい」などと話していた。

 中学、高校の同級生でサッカー部員でもある男子生徒(15)は「部活では、ユニホームの洗濯などの仕事をテキパキとこなしてくれた。突然いなくなってしまうなんて」と話した。

 同高では、事件を受けて3日、3年生対象の模擬試験を午前中で中止し、生徒を帰宅させた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080504-OYT1T00029.htm