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2008年05月03日(土) 21時15分

「百日咳」大人の感染者激増 2009年の大流行が心配J-CASTニュース

 激しい咳の発作を伴う「百日咳(ひゃくにちぜき)」が猛威をふるっている。子供の病気として知られているが、最近では大人の感染者も激増している。全体の40%が20歳以上で、2009年は大流行が懸念されている。どうしてそうなったのか。

■20歳以上の感染者が全体の40%を占める

 国立感染症研究所 (東京都新宿区)によると、全国での感染件数は08年1〜4月で851件が報告されている。なかでも20歳以上の感染者が年々増加し、全体の40%を占める。20歳以上の割合が2%だった00年と比べると、08年は大人の感染者が激増していることがわかる。

 地域別では、千葉県がもっとも多い。千葉県健康福祉部疾病対策課によると、08年1月からの4カ月間で、227人が感染した。そのうち20歳以上は170人で、75%を占める。

 感染者が多い理由について同課の担当者は、「千葉県だから多いという特定の理由はないと思う。県内の病院に注意を呼びかけているため、医師が発見する確率が高まったのではないか」と、話している。

 百日咳の初期症状は軽い咳で、医師でも間違うほど、風邪の症状によく似ている。その後激しい咳の発作が起こる。夜間に目が覚めることや、咳き込んで肋骨が折れることもある。症状は約3週間も続く。

 感染源は咳やくしゃみの飛び散りだ。国立感染症研究所に所属する内科医によると、「1人の患者から平均10人に感染する」と、麻疹(はしか)に次いで感染が広がる確率が高い。

 07年には大学での集団感染も起こった。07年5月に香川大学で学生や職員75人が感染し、1週間休校になった。

 08年は、今のところ国立感染症研究所に報告はきていない。「だいぶ時間が経ってから情報が出る。伝わる頃には、既に感染が拡大している」と、懸念される。

■今後は思春期のワクチン接種が必要?

 百日咳の予防にもっとも有効なのは、ワクチンの接種だ。多くの人が乳幼児期に接種していて、乳児の感染数は年々減っている。

 一方で、20歳以上の感染者が増えているのはなぜか。

 2つの原因が推測される。1つ目は、乳幼児期に接種したワクチンによって作られた免疫は持続期間が短く、年を取るにつれて低下する。2つ目は、ワクチンが普及して乳幼児期の感染者が減り、免疫を持たない大人が増えていることだ。

 そこで、思春期にワクチンを接種する必要性を訴える声も上がっている。近年、大人の百日咳が大流行した欧米では、乳幼児期に加えて思春期にもワクチンを接種する機会を設けた。

 国立感染症研究所では、感染者の実態調査を2008年5月から開始する。ホームページ上にデータベースを設けて、医師が感染者を診断した場合に、その情報を登録するよう呼びかけていく。

  「大人の感染者数は増え続けている。09年はさらに深刻になるだろう」

と、思春期のワクチン接種の導入も含めて、早急に対策を考えなければならないようだ。


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