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2008年05月03日(土) 03時16分

民主、首相問責見送り 後期高齢者医療の廃止法案提出へ朝日新聞

 民主党は2日、福田首相の問責決議案について、今国会への提出を見送る方針を固めた。後期高齢者医療制度などの政策をめぐる政府・与党の対応が、衆院山口2区補選での民主党候補勝利や内閣支持率下落につながったとみて、政策面で追及した方が得策と判断した。その一環として、同制度の廃止法案を近く参院に提出する方針だ。

 同党幹部は2日、記者団に対し「このままでいくと首相問責を打つ必要はない。通常の国会審議で首相を追いつめることが可能になる」と語った。報道機関の世論調査で内閣支持率が2割程度に落ち込んだ状況を踏まえ、後期高齢者医療制度の廃止や道路行政の抜本的改革を国会で訴え、首相に解散総選挙か総辞職を迫る考えを示した発言だ。

 廃止法案は来年3月末に同制度を完全廃止し、お年寄りの反発が強い年金からの保険料天引きはそれよりも前倒しで中止する内容。廃止を公約した補選での勝利を受け、小沢代表が野党が多数を占める参院への提出を指示した。共産、社民、国民新各党と共に早期可決をめざす。

 野党4党は、75歳以上を従来の健康保険から切り離した同制度を「うば捨て山」と批判し、2月末に廃止法案を衆院に共同提出したが、審議されないまま4月から制度が始まった。新たな法案では完全廃止に向けた自治体や健康保険組合などの準備期間に1年程度必要と見込み、施行は来年4月1日とする。年金天引きや被扶養者の新規保険料負担などは、できるだけ速やかに廃止したい考えだ。

 民主党は制度廃止後、3月まで加入していた国民健康保険や政府管掌健康保険、健保組合への復帰や、公費と現役世代の拠出金でまかなってきた「老人保健制度」の復活を想定。医療費負担のあり方については「従来の老人保健制度に戻ったところから、改めて議論し直す」(菅直人代表代行)と説明している。

 年金天引き廃止を優先するため、参院で早期に可決して衆院に送る構え。一方、政府・与党はその財源などをめぐり民主党批判を強めそうだ。 アサヒ・コムトップへ

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