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2008年05月03日(土) 12時02分

ちばぎんハートフル:障害者雇用・業務開始1年 社員ら自信の笑顔 /千葉毎日新聞

 ◇誇り持って仕事…新たな業務受託
 千葉銀行(竹山正頭取、本店・千葉市中央区千葉港)が障害者雇用を促進しようと設立した特例子会社「ちばぎんハートフル」(同市美浜区真砂4)が、業務開始から1年を迎えた。障害者として採用された7人の社員は1人も辞めることなく、4月からはさらに3人の新しい仲間が入社。「安心して仕事を任せられる」と、委託される業務も増えた。「仕事が楽しい。自分たちにもできる」。社員の顔には、自信に満ちた笑顔があふれる。【神足俊輔】
 同社は06年12月に設立。07年4月から、3人の出向者と18〜46歳の知的、身体障害者ら7人の計10人で業務を開始した。
 仕事は同行からの受託業務が中心。これまで同行が外部に発注していた手形・小切手帳の作成や行員の名刺印刷など、銀行の仕事に欠かせないものばかり。同行出身で、関連会社相談役から就任した岡本真司社長(60)は「みんな誇りを持って仕事に取り組んでいる」と、社員の成長ぶりに目を細める。
 失敗や納期の遅れは許されない。年度初めの今の時期は、デリバティブ取引の報告書などの発送作業のピーク。10人が総がかりで取り組む。「全部で2000通を送るので、期限に間に合わせるのが大変」と話すのは渡辺惇志さん(20)。封筒に入れる書類が少しでも曲がっていたらやり直し。「封筒を開けるお客様に、うれしく思ってもらいたいので、心を込めて作業しています」
 仕事ぶりが評判を呼び、住宅ローン申込書の発送など、4月から新たな業務を同行から受託した。勤務して2年目になる上野誠さん(26)は「後輩ができてうれしい」と話す。
 上野さんらは「パソコンの電源を入れる」から始まる、1日の業務を説明するマニュアルを作成。マンツーマンで後輩を指導する。4月に入社した高田夏子さん(18)は名刺の業務を担当。「先輩は優しい。注文通り、間違えないように作らないと」と笑顔で話す。
 昨年11月、同行広報部がハートフル社員の仕事ぶりを紹介する行内向け番組を作った。社員同士でお互いの障害をカバーし合う姿や、「仕事ができる」という喜びにあふれる社員の表情に、社員からは「仕事をすることの意味を考えさせられた」という感想が寄せられたという。
 岡本社長は「時間はかかっても、社員は一つ一つの作業を工夫してやってくれている。どんどん業務を広げて、採用も増やしたい」と誇らしげに話す。

5月3日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080503-00000070-mailo-l12