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2008年05月02日(金) 08時26分

【フロンティアに挑む】(43)アクトシステムフジサンケイ ビジネスアイ

 ■モバイルとクチコミ融合サイト提供

 インターネットモール(仮想商店街)とコミュニティーサイトのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を連携させ、サイトに書かれた“クチコミ”などの効果により、モールを活性化しようという動きが広がっている。このモールとSNSに、さらにマルチ・レベル・マーケティング(MLM=連鎖販売取引)の仕組みを結び付けたサイトを開設・運営しているのが、アクトシステムだ。

 運営するのは携帯電話用のサイト「アクトタウン」。SNSが通常、会員の紹介だけで新会員として登録できるのに対して、アクトタウンは会員登録時に身分証明書などの書類を送ってもらい審査する。このため、「参加者の身分を確認しているので、書かれている情報も信頼性が高い」と松橋一紘社長は強調する。

 会員は出店者と商品を購入する消費者の2タイプで、MLMであることから、ともに新会員を紹介したときに、手数料が得られる代理店機能を持つ。同時に新会員を紹介しないで、商品を販売するだけの加盟店としての登録も可能にするなど、柔軟な姿勢で運営している。

 出店しているのは食品、衣料・ファッション、電化製品など幅広いが、並行して実際の店舗を運営する業者も多い。また、飲食やリラクゼーション関連など、実際の店舗に行って利用する形態の業種も少なくない。

 この両方に対応する決済手段として、同社は会員カードと連動した前払い方式のサーバー管理型電子マネー「VERMO(ベリモ)」を開発し導入している。これは、会員があらかじめ一定の金額を振り込み、その額を同社のサーバーで管理するシステム。実際の店舗でも、専用のリーダーに会員カードを通すことで、決済する金額が、その会員の残高を超えていないかどうか確認できる。

 同社はアクトタウンを2007年2月に開設。会員数は「まだ1万に届かないが、順調に伸びている。将来は10万会員にしたい」と松橋社長は笑顔で青写真を描く。

 松橋社長はクレジットカード会社に20年勤務し、広告なども担当。「クチコミの果たす役割」を実感し、クチコミとモバイルショッピングを結合した事業に乗り出す決断をしたという。

 役員、社員にシステム開発や広告の分野の経験者を集めるとともに、公認会計士に監査役を依頼するなど、規模はまだ小さいが、堅実に事業を進める体制を整備し会員拡大を図る。併せて、「ベリモの決済額の1%を子供の健全育成、介護福祉、環境保全などに役立てたい」と社会貢献も目標に掲げている。(ジャーナリスト 松浦利幸)

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【プロフィル】松橋一紘

 まつはし・かずひろ 日大農獣医卒。1977年食品会社に入社。ジーシー(現GEコンシューマー・ファイナンス)に転職し、審査、営業、加盟店開拓など担当。2006年12月アクトシステム設立。53歳。東京都出身。

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【会社概要】アクトシステム

▽本社=東京都台東区 台東4の1の9 

  I・S・Iビル 

  TEL03・5534・9710

▽従業員=15人(契約スタッフ含む)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080502-00000024-fsi-ind